●Tyler Cowen, “How to travel to Europe after college”(Marginal Revolution, March 22, 2009)
本ブログの熱心な読者の一人である Jason から次のような質問を頂戴した。
卒業間近の学部4年生です。王道過ぎますが、卒業旅行でヨーロッパを訪れる計画を立てています。学部での専攻は、経済学です。それゆえにと言いますか、旅行中は時間を「最大限に」有意義に過ごしたいと思っています。ヨーロッパには、これまでに一度も行ったことがありません。ヨーロッパを旅するなら、何でもかんでもつまみ食いするみたいにあちこち見て回った方がいいでしょうか? それとも、どこか一箇所に狙いを定めた方がいいでしょうか? どこか一箇所に狙いを定めるべきだとしたら、どこがお薦めでしょうか?
旅する地としてどこが自分の好みに合うかなんて前もってわかりはしない――そこに行くのが初めてなら、とりわけそう――というのが私なりの持論だ。それゆえ、どこか一箇所に狙いを定めるよりも、あちこち見て回る分散戦略をお薦めする。少し前に、「アメリカ国内を旅するならどこがお薦め?」というテーマ〔拙訳はこちら〕で私なりにお薦めの場所を5箇所選んだが、今回もそれに倣(なら)うとしよう。ヨーロッパを初めて旅する人向けに、私なりにお薦めの場所を5箇所選ぶと、以下のようになるだろう。
1. パリ;当然の選択。
2. ローマ;世界有数の歴史都市であり、世界を代表する首都。
3. 晴天時のスステン峠。あるいは、晴天時のツェルマット(いずれもスイス);ヨーロッパらしい田舎の風情が味わえる。美しい自然も広がっている。ドイツっぽさもある。ドイツっぽさというなら(私も好きな)ドイツからどこか選べばいい話だが、どこか一箇所となると選べなかった。
4. プラハ;中世以降のヨーロッパの主要な時代を代表する建築物が漏れなく味わえる。東欧の香りも汚職の匂いもほんのりしてくるし、ゲルマン人やユダヤ人の歴史もうっすら感じ取れる。
5. アルバニアの田舎町。シュコドラとか、ジロカストラとか;19世紀に地中海沿岸で暮らしていたヨーロッパ人の生活水準がどんなだったかが窺(うかが)い知れる。マルサス的な世界というのがどんな感じか窺い知れる。
妻のナターシャには告げ口しないでもらいたい。私にとっては、(妻の出身地である)ロシアはアジアの一部という認識なのだ。加えて、イングランドは、ヨーロッパの国というよりは、北国という印象なので、今回は選考から外してある(イングランドについては、また別の機会に話題にすることがあるかもしれない)。