●Tyler Cowen, “In Fed We Trust”(Marginal Revolution, July 22, 2009)
『In Fed We Trust』(邦訳『バーナンキは正しかったか?:FRBの真相』)を読了。副題は、「大パニックに挑むベン・バーナンキの闘い」。著者は、デイビッド・ウェッセル(David Wessel)。お気に入りの箇所を引用しておこう [1] 訳注;以下は拙訳。
ニューヨーク・タイムズ紙のクロスワードパズルにほぼ毎日欠かさず挑戦するのが、バーナンキ夫妻(夫のベンと妻のアンナ)にとっての共同の楽しみだという(ただし、難易度の低い月曜版のパズルは見送るのが常とのこと)。バーナンキは、冗談めかして語る。「クロスワードパズル解きは、夫婦で一緒にやる共同作業の一つですね。クロスワードパズルとの格闘は、我々二人のセクシーな生活ぶりを象徴しています。なかなかの腕前なんですよ。日曜版のパズルなんかは、大体40分もあれば解けちゃいますから」。
そのエンターテインメント性にしても読み易さにしても、これまでに金融危機について書かれた類書の中でも飛び抜けている一冊だ。
———————————————–
●Tyler Cowen, “The Alchemists”(Marginal Revolution, March 10, 2013)
発売されたばかりの『The Alchemists』(邦訳『マネーの支配者:経済危機に立ち向かう中央銀行総裁たちの闘い』)にざっと目を通したばかりだ。著者は、ニール・アーウィン(Neil Irwin)。副題は、「3人の中央銀行総裁と火の海に包まれた世界経済」 [2] … Continue reading。非常に優れた一冊という印象を受ける。アーウィンは、本書でトリシェ(元ECB総裁)を「ヨーロッパ大統領」と呼んでいる。ざっとしか目を通していないので、アーウィンがトリシェをそのように呼ぶ理由を読み違えているかもしれないが、もし読み違えていないようなら成程(なるほど)と思える評価だ。17世紀のスウェーデンの中央銀行(ストックホルム銀行)が話題になっている大変興味深い章も見所だ。