ジンバブエにまでたどり着いた低額面のドル紙幣(1ドル、2ドル、5ドル、10ドル)は、文字通りバラバラになるまで使われる。下着や靴の中に隠し持って、犯罪が横行するスラムを潜り抜けて運ばれるのが通例だ。
そのうちひどく臭う(におう)ようになると、洗濯機で洗浄される。洗浄が終わると、シーツや衣類と一緒に干して乾かすのだ。洗濯バサミで挟んで。
米ドルが長年にわたって使えて、一枚一枚のドル紙幣の寿命がだいぶ長い――Fed(連邦準備制度)が意図しているよりもはるかに長い――この大陸では、そうする(洗濯機で洗う)のが最善の手なのだ。ゴム手袋をはめて扱うか、除菌シートで拭くかするのと並んで。
歴史に残るハイパーインフレを根絶するために、ジンバブエの連立政権が米ドルを公式に法定通貨に指定したのは昨年(2009年)のことだ。
米国内では、擦り切れたり汚れたりして使えなくなったと判断された紙幣が毎年7,000トンも廃棄されている。Fedによると、米国内で流通する1ドル紙幣の平均寿命は、約20カ月だという。その一方で、アフリカのこの地では、その寿命は何年にも及ぶ。
景気の良し悪しにあわせて、流通する貨幣の量を調節するのを可能にする方法の一つではある。古くなった紙幣を適宜洗濯機で洗って再利用するわけだ。とは言え、厄介な面もある。流通速度が低下するのは避けられないだろうからだ [1] 訳注;洗濯機で何度も洗った紙幣はあちこち傷(いた)んでいるので、受け取ってもらいにくい、という意味だと思われる。(貨幣の内生性をうまく扱えるだろうか? フリーバンキングの実例と言えるだろうか?)。古くなったからといってすぐに廃棄しないでも、やれることは色々あるようだ。
現地の人々によると、温水で優しく手洗いするのが一番いいという。とは言え、ハラレ(ジンバブエの首都)の東部にあるコインランドリーやクリーニング店の洗濯乾燥機を使って洗浄しても、ドル紙幣にダメージはほとんどないという。素材が綿(+麻)なのに加えて、偽造防止用の繊維が織り込まれているからだ。ただし、特殊な溶剤を使う「ドライクリーニング」はお薦めできないという。かの有名な緑色が薄くなってしまうからだ。
全文はこちら。情報を寄せてくれたジェレミー・デイヴィス(Jeremy Davis)に感謝。
〔原文:“Laundering money, literally”(Marginal Revolution, July 7, 2010)〕
References
↑1 | 訳注;洗濯機で何度も洗った紙幣はあちこち傷(いた)んでいるので、受け取ってもらいにくい、という意味だと思われる。 |
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