●Tyler Cowen, “Memory as a consumer durable”(Marginal Revolution, April 26, 2012)/【訳者による付記】本サイトで訳出されているタイラー・コーエン 「休暇の行動経済学」(2014年4月6日)もあわせて参照されたい。
ギャレット・ジョーンズ(Garett Jones)がアトランティック誌に記事を寄稿している。
・・・(略)・・・「耐久財」なるものには、政府による公式統計の定義によっては捉えきれないだけの重要性が備わっている。目にはまったく見えない「記憶」(memory)も、耐久財めいた性質を持っているのだ。
遠くまでドライブに出掛けよう。レストランの予約をとろう。飛行機に乗って、どこか知らない国に行ってみよう。何か新しくスポーツを始めてみよう。あれしてみようこれしてみようと思い立っても、いざ実行に移そうとすると躊躇してしまうという経験はよくある。やろうとすると面倒な割に、そんなに長くは楽しめないように思えてしまうのだ。しかしながら、それは間違っている。バンジージャンプに挑戦してみたとしよう。その時、あなたは何を買っているのだろうか? 束の間の体験? そうじゃない。「記憶」(思い出)を買っているのだ。丈夫(じょうぶ)なジーンズよりもずっと長持ちする可能性を秘めている「記憶」を買っているのだ。
そのことを裏付けるような心理学の研究もある。多くの人は、休暇がやって来るのをワクワクしながら心待ちにする。しかしながら、いざ休暇に入ると、あまり楽しめない。そして、休暇が終わると、過ぎ去った休みの記憶(思い出)を愛(め)でるのだ。休暇がもたらす喜び――経済学の用語を使うと、「効用」――の大半は、休暇を過ごしている最中ではなく、その前後に生じるのだ。
休暇が絡んでくる観光消費支出は、耐久消費財への支出とよく似た動きを見せる傾向にある。観光消費支出は、景気後退期に大きく落ち込む傾向にあるのだ――耐久消費財への支出と同じように――。目下の大不況(Great Recession)下でも、観光消費支出は15%近く落ち込んでいる。それとは対照的に、食料への支出は5%しか落ち込んでいない。
是非とも全文に目を通されたい。
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