アレックス・タバロック 「ニューディール修正主義」(2009年4月4日)

経済への政府の介入ということになると、「何もしない」というのが大統領(国のトップ)に望み得る最善の選択?
画像の出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/22740684

ニューヨーク・タイムズ紙の文芸欄に、「ニューディール修正主義」(“new deal revisionism”)についての短い記事が掲載されている。一番パンチが効いているのが、リチャード・ヴェダー(Richard Vedder)の言い分だ。

ヴェダー氏は、おどけた調子で別の比較対象を持ち出した。1920年に起きた不況である。1920年に起きた不況は、1922年までに終焉した。その後に起きた不況よりもずっと短命だったわけだが、その理由は? 当時の大統領だったウッドロウ・ウィルソンは、1919年の後半に脳梗塞を発症していた(そのため、大統領としての職務を思うように執行できなかった)。ウィルソンの後を継いだのは、ウォレン・ハーディング。アメリカ史上最悪の大統領の一人と評されることもある人物である。ハーディングは、大統領としての職務よりも、酒・ポーカー・ゴルフ・女を優先したという。「何も為(な)されなかったんです」とヴェダー氏。

言うまでもないが、ヴェダー氏としては、国のトップが体調を崩すこと――あるいは、職務を放棄すること――を望んでいるわけではない。しかしながら、経済への政府の介入ということになると、「何もしない」というのが大統領に望み得る最善の選択というのがヴェダー氏の見立てなのである。

ところで、明日の(政治専門のケーブルチャンネルの一つである)C-SPANにロバート・ヒッグス(Robert Higgs)が出演する予定になっていて、今から楽しみだ。ヒッグスは一流の経済史家で、彼の話を聞くたびに何か新しいことが学べるのだ。


〔原文:“New Deal Revisionism”(Marginal Revolution, April 4, 2009)〕

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