タイラー・コーエン 「ロバート・ルービンと蓋然的思考」(2004年1月28日)

「蓋然的思考」が身に沁みついているロバート・ルービン〔クリントン政権時の財務長官〕は、「他にどんなことが起き得るだろう?」/「もしも我々が間違っていたとしたら?」とひっきりなしに問うという。
画像の出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/4042934

ブラッド・デロング(Brad DeLong)がロバート・ルービン(Robert Rubin)の新著『In An Uncertain World』(邦訳『ルービン回顧録』)を書評している。ルービンは、どうやら頭脳明晰な人物のようだ。これまでに一度も直接会えずにいるのが残念なところだ。デロングの書評の一部を引用しておこう。私のお気に入りの箇所だ。

時折眉を吊り上げて、ポツリとつぶやく。「その指摘は非常に興味深い。もの凄く重要だ。じゃあ、次はX氏の番ですね。彼が何を語るか、みんなで耳を傾けるべきでしょうね」。会議の間、それくらいのことしか口にしないのに、自分が望む方向に向けて全員の意見を集約させることができてしまえるのは、私が知る限りルービンくらいしかいない。

ルービンは、己の身に沁みついている「蓋然的思考」(“probabilistic thinking”)を強調してやまない。「他にどんなことが起き得るだろう?」。「もしも我々が間違っていたとしたら?」。ひっきりなしにそう問わずにいられないという。最も可能性が高そうな結果や最も都合がいい(好ましい)結果だけに目を向けるのではなく、ありとあらゆる可能性を考慮に入れるという。好ましい結果が得られたとしても、自分が正しい判断を下したおかげとは限らないし、まずい結果が得られたとしても、自分が誤った判断を下したせいとは限らない。ルービンに言わせると、そういうことになる。


〔原文:“Robert Rubin”(Marginal Revolution, January 28, 2004 )〕

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