●Tyler Cowen, “The economics of Hong Kong kung fu”(Marginal Revolution, August 23, 2016)
香港の街中は、ますます安全になってきていて、あの「三合会」――カンフー映画でおなじみの凶悪な犯罪組織――による殺人事件も減少傾向にある。それに加えて、香港は、不動産の価格が世界の中でもトップクラスに高い都市の一つでもある。そのせいで、カンフー教室を開くために道場を借りるのが難しくなっている。道場の賃貸料が高騰しているのだ。
「カンフーが香港人の文化や余暇の大きな部分を占めていた」時代も過ぎ去ろうとしていると語るのは、香港のマーシャルアーツ(格闘技)の歴史に関する著書もある麥勁生(Mak King Sang Ricardo)氏。「仕事が終わると、マーシャルアーツの道場に通うというのがお決まりでした。他の練習生たちと一緒に夕食を作って食べて、夜の11時までカンフーの鍛錬に汗を流していたのです」。
マーシャルアーツの人気に陰りが見えている一方で、若者たちの間でビデオゲームの人気が高まっている。10代の若者たちは、回し蹴りを習得するよりも、公園でポケモンGOに興じるのに力を入れているのだ。若者たちの間では「カンフーは『クール』じゃない」という認識が広まっていて、マーシャルアーツに長年携わっている関係者たちの間では「カンフーの未来は暗いのではないか」と懸念する声が広がっている。
道場の賃貸料が高いのも大きな問題だという。
・・・(略)・・・香港の道場で(中国武術の一つである)詠春拳を習った元練習生たちが世界各国に散らばって詠春拳の道場を開いている。梁挺(Leung Ting)氏が会長を務める国際詠春拳協会(International WingTsun Association)が掴(つか)んでいる情報によると、その数は世界65カ国以上で計4000にも及ぶという。しかしながら、香港にある詠春拳の道場の数は、今ではたったの5つに過ぎないという。
・・・(中略)・・・
「どちらかというと、カンフーは、定年退職した叔父や祖父たちの世代向けなのです」。
全文はこちら。はじめから終わりまで興味深い内容になっている。この記事を書いている Charlotte Yang は、正規の記者ではなく、(夏季休暇を利用してインターンでニューヨーク・タイムズ社で働いている)インターン生らしい。