●Tyler Cowen, “Turing’s Cathedral”(Marginal Revolution, March 8, 2012)
今回紹介するのは、ジョージ・ダイソン(George Dyson)の新著だ。タイトルは、『チューリングの大聖堂』(邦訳『チューリングの大聖堂:コンピュータの創造とデジタル世界の到来』)。副題は、「デジタル宇宙の起源」。最上級のあっぱれな一冊だ。コンピュータシステムの起源。初期のコンピュータと核兵器システムとのつながり。天才にやる気を出させるにはどうすればいいか。ジョン・フォン・ノイマンの経歴。本書を読むと、そういったあれこれについて再考せざるを得なくなる。ほんの少しだけだが、内容の一部を引用しておこう。いつかまた、本書を取り上げる機会があるかもしれない。
ビゲロー(Julian Bigelow)がMIT(マサチューセッツ工科大学)を去ったのは、1943年。ウォーレン・ウィーバーに誘われて、国家防衛研究委員会(NDRC)に設置された応用数学パネル統計研究グループの一員に加わることになったのだ。コロンビア大学の後援を受けていたそのグループに集ったのは、ジェイコブ・ウォルフォウィッツ、ハロルド・ホテリング、ジョージ・スティグラー、エイブラハム・ウォールド、(経済学者に転身する前の)ミルトン・フリードマンを含む総勢18名の学者(数学者および統計学者)たち。戦時下で巻き起こる様々な問題が検討された。例えば、「戦闘機に12.7ミリ重機関銃(ブローニングM2重機関銃、通称「キャリバー50」)を8丁搭載すべきか、それとも20ミリ機関砲を4丁搭載すべきか」とかいうような問題が。