アブストラクト
COVID-19パンデミックがもたらす各種の影響に対応すべく,6月3日にドイツ政府は前例のない経済刺激パッケージを公表した.その政策の1つは,2020年6月から12月のあいだ一時的に付加価値税率を引き下げるというものだった.この政策の狙いは,一時的に価格を引き下げてインフレ予想を引き上げることにより消費を刺激することにあった.本コラムでは,経済の主要部門1つをとりあげ,その転嫁率の推定値を提示する〔付加価値税の減税分のうちどれだけが実際の小売価格に反映されたかを推定したということ〕.我々の推定値では,小売り販売の燃料では転嫁が急速かつ相当なものではあったが不完全で,転嫁率は当該市場の競争の度合いによって異なっていることが示されている.
[Felix Montag, Alina Sagimuldina, Monika Schnitzer, “VAT reduction as unconventional fiscal policy in Germany: Fast but heterogeneous pass-through in the fuel market,” VoxEU, August 25, 2020]