タイラー・コーエン 「お薦めの旅行先は?」(2015年5月25日)

●Tyler Cowen, “Where to travel, a reader bleg”(Marginal Revolution, May 25, 2015)


本ブログの読者である R. から次のような質問を頂戴した。

貴殿のブログをもう何年も前から拝読させていただいています。ずっと変わらず、お気に入りのブログです。私の職業は、弁護士です。今年の秋から法律事務所で働くことが決まっているのですが、仕事が始まる前に、東アジアか北アジア、あるいはヨーロッパあたりを1~2ヶ月くらいかけて旅行しようかと計画しています。貴殿は、世界中をあちこち旅されていますが、これまでに旅した中で一番思い出深い場所だったり、一番思い出深い体験だったりをテーマにしたエントリーを書いていただけたらありがたいところです。

ちゃんと答えようとすれば、本何冊分もの分量になってしまうだろうが、「とりあえずこれをおさえておいたら間違いない」というシンプルな経験則がある。1人あたりGDP(国内総生産)が高い国(地域)に狙いを定めるといい。私の旅行遍歴の中で一番思い出深かったお気に入りの旅行先と言えば、たぶん東京ってことになるだろう。個人的な好みを脇に置いてお薦めするなら、ロンドン、パリ、ベルリン、ローマ、マドリード――あるいは、ヨーロッパにある都市をどれかさらに加えてもいいし、今列挙した中からどれかを差し引いてもいい――を結んでできる辺(あた)りを攻めてみるといいだろう。これはという観光スポットがたくさんあって、またとない体験もたくさん味わえる。どういう順路を選んでもよしだ。

アメリカ国内を旅したいというのであれば、東海岸やシカゴもお薦めだが、やはり一番は、ユタ州南部からグランド・キャニオンの北壁(ノースリム)にかけての辺りだ――南壁(サウスリム)よりも北壁(ノースリム)の方が断然お薦めだ(ただし、事前に予約すること)――。あの辺りは、世界でもおそらく一番魅力的な自然美が味わえる場所だし、真のアメリカ文化を目撃できる場所でもある。評判の割には、どういうわけだか観光客は少なめのようだ(ある意味で、ありがたいけれど)。おまけのお薦めとしては、サンフランシスコ・・・なんかは避けて、人里離れた荒野を数日かけて車で旅するのもいいだろう。荒れ果てていて侘(わび)しければわびしいほど、なおよしだ。

新興国の中から選ぶなら、まずは、北京とかムンバイとかがお薦めだ。10億もの(あるいは、それ以上の)人口を抱える国に一度くらいは行ってみたいと思わない? 北アメリカ周辺に住んでいるようなら、メキシコシティも狙い目だ。メキシコシティは、かなり過小評価されている。ただし、英語が通じるなんて思わないこと。ちなみに、メキシコシティは、思われているよりも安全な場所だ。メキシコシティを満喫した後は、どこか近くの田舎にでも行ってゆっくり過ごせばいい。田舎でゆっくり過ごしたいのであれば、大体どの新興国でも――その国が安全であろうと、そうでなかろうと――目的に適(かな)う場所が見つかるだろう。

一丁あがり!

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