タイラー・コーエン「1万語あたりに -ly 副詞がでてくる回数」

[Tyler Cowen, “Number of -ly adverbs per 10,000 words,” Marginal Revolution, May 17, 2017]

ヘミングウェイ: 80回
トウェイン: 81回
メルヴィル: 126回
オースティン: 128回
J.K.ローリング: 140回
E.L.ジェイムズ: 155回

ネタ元は,ベン・ブラットのおもしろい新著『ナボコフのお気に入り単語は「藤色」』.ヘミングウェイ作品で -ly で終わる副詞の生起率がいちばん高いのは死後出版となったTrue at Fist Light で,ヘミングウェイ作品で最低の駄作と考えられている.同じパターンはフォークナーやスタインベックにも見られる.つまり,いちばん評価の高い作品は -ly 副詞の生起率が相対的に低い.調査された著名作家たちのなかでは,D.H.ロレンスがこの規則性のいちばん明白な例外となっているようだ.

J.R.R.トールキンは『ホビット』で “she” を1回しか使っていない.一方,ミュリエル・スパークの『ミス・ブロウディの青春』では,he に対して 79% の割合で she が使われている.この数字は,調査された古典のなかで最高の割合だ.曲線のこちら側〔he/sheの比率〕では,女性作家はとても存在感が大きい.そして,男女で比較すると男性作家が “he” を使う割合の方が女性作家が “she” を使う割合よりもはるかに高い.

また,本書に教わることは他にもあって,デイヴィッド・ブルックスは他のどんな単語よりも “The” を文頭にもってくることが多いのに対して,ポール・クルーグマンではその座を “But” が占めている.あと,いいかわるいかはさておき,クルーグマンは照応表現の使用回数が他よりはるかに少ない.

D.H.ロレンスは動物の比喩の数がいちばん多い.

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