タイラー・コーエン 「オハイオ州立大学のフットボールチームの勝敗が大統領選挙の帰趨を決定づける?」(2012年10月25日)

●Tyler Cowen, “Will Ohio State’s football team decide who wins the White House?”(Marginal Revolution, October 25, 2012)


ケヴィン・グリアー(Kevin Grier)と一緒に書き上げた論説がスレート誌に掲載されたばかりだ。内容の一部を引用しておこう。

有権者がどんな感じで非合理的なのかというと、激戦州で行われたカレッジフットボールの試合結果が、ホワイトハウスへの切符を賭けたレース(大統領選挙)の行方を決定づける可能性があるらしいのだ。

『米国科学アカデミー紀要』(Proceedings of the National Academy of Science)に掲載されている大変魅力的な論文で、そのことが実証的に明らかにされている。著者は、アンドリュー・ヒーリー(Andrew Healy)、ニール・マルフォートラ(Neil Malhotra)、セシリア・モー(Cecilia Mo)の三人。この論文では、選挙(大統領選挙、上院議員選挙、州知事選挙)の直前に行われたカレッジフットボールの試合結果が有権者の投票行動に影響を及ぼしたかどうかが検証されている。その検証結果によると、投票日の1週間前に行われたゲームで地元チームが勝利すると、現職の得票率がおよそ1.5ポイント(1.5パーセントポイント)上昇するとの結果が見出されている。さらには、観客動員数トップ20のチーム――ミシガン大学、オクラホマ大学、南カリフォルニア大学といったビッグチーム――が投票日の直前に勝利すると、現職の得票率は3ポイント(3パーセントポイント)も上昇するという。かなりの票数だ。接戦の選挙戦で勝利を掴む上で決して無視できない数だ。なお、以上の結果は、ごく少数の限られたデータから得られたものではないことを指摘しておこう(全米の62のビッグチームの試合結果のデータが用いられていて、対象期間は1964年から2008年まで)。

スポーツのいいところと言えば、我々を元気づけて、日々の生活に輝きを添えてくれるところだ。応援しているチームが勝利すると、幸せになって満足感を覚える。観戦中(競技場の中にいる時)だけでなく、競技場を出た後も。幸せで気持ちの高ぶりを感じている時には、現状に満足しがちになる。現状に満足すると、現職の政治家に票を投じがちになる。そうするのがどんなに非合理的であろうとも。

ヒーリーらの論文では、経済的・人口統計学的・政治的な諸要因の影響を除去するように調整が加えられているので、彼らが見出している結果は、大雑把な相関よりもずっと精緻なものだと言える。さらには、有権者の予想を考慮に入れた分析も試みられていて、予想外の勝利にはとりわけ強い力が備わっていることが見出されている。地元チームが予想外の勝利を収めると、現職の得票率がおよそ2.5ポイント(2.5パーセントポイント)上昇する傾向にあるというのだ。

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