●Tyler Cowen, “Class size doesn’t matter much”(Marginal Revolution, September 19, 2003)
OECD(経済協力開発機構)の研究によると、学級規模(1クラスあたりの生徒数)を縮小しても――クラスの少人数化を推し進めても――、生徒の成績は大して改善されないらしい。教育問題を専門とするブロガーのジョアン・ジェイコブズ(Joanne Jacobs)のコメントはこちら。学級規模は、生徒の成績に影響を及ぼす要因としてはそれほど重要じゃないという結果はこれまでにも得られているが[1]訳注;学級規模の縮小に伴う効果を検証した先行研究をサーベイしている日本語の記事として、次の記事を参照されたい。 ●畠山勝太, … Continue reading、ダグラス・ウィルムス(J. Douglas Willms)(pdf)が率いた今回のOECDの国際比較調査は、そのような過去の研究結果を裏付ける格好となったわけだ。もしもアメリカで学級規模の縮小が推し進められでもしたら、教師の質の悪化という「意図せざる結果」が伴うことになるんじゃないかと個人的に睨(にら)んでいる [2] … Continue reading。
どうにかして教育の質を高めたいのであれば、学級規模を縮小するよりも効き目がありそうな手がいくつかあるので、それを試せばいい。
・・・(略)・・・教師と生徒の関係を改善する(よりよい人間関係の構築を図る)/読み書きの専門家を学校に雇い入れる/読む能力がなかなか身につかないでいる(学習障害の傾向のある)小学2年生以下の児童に対して早めに特別な支援を行う/教師に学級経営の術を教え込む/家庭での本の読み聞かせを推奨する/幼児教育プログラムの充実を図る
ジェイコブズによると、学級規模の縮小によって最大の恩恵を受ける可能性があるのは、幼稚園児や小学1年生――とりわけ、障害を抱えている児童――じゃなかろうかとのことだ。
References
↑1 | 訳注;学級規模の縮小に伴う効果を検証した先行研究をサーベイしている日本語の記事として、次の記事を参照されたい。 ●畠山勝太, “「35人学級見直し議論」を大人の茶番ですませてはいけない”(synodos, 2014年11月11日) なお、次の記事では、学級規模の縮小が生徒の成績に及ぼす影響を日本のデータを用いて実証的に検証した試みが紹介されている。 ●赤林英夫, “少人数学級政策の教育効果の不都合な真実”(synodos, 2015年2月4日) |
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↑2 | 訳注;学級規模が縮小すれば、クラスの数が増えるので、新たに教師を確保する必要が生じることになる。必要な教師の数が増えるにつれて、(新たに採用される)教師の質が徐々に低下していく可能性がある。 |