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ノア・スミス 「資本主義 vs.頑迷な偏見」

●Noah Smith, “Capitalism vs. bigotry”(Noahpinion, May 9, 2014)


ゲーリー・ベッカー(Gary Becker)による「差別の経済学」をテーマとした記事をQuartzに寄稿したばかりだ。経済の分野におけるここ最近の女性の活躍ぶり(地位の向上)は目を見張るばかりだが、ベッカーによる「差別の経済学」のレンズを通して見た場合、この事実はどのように説明できるのだろうか? 以下に寄稿記事の一部を引用しておこう。

ベッカーの考えによると、競争の促進によって差別が撃退されることになる。資本主義に対する歯止めを緩めて情け容赦ない競争をこの世界に招き入れれば、女性やマイノリティの職場における待遇が改善されることになるというわけだ。・・・アメリカの経済分野におけるここ最近の女性の活躍ぶりに驚き入っている人にとっては何とも興味をそそられる話に聞こえることだろう。

・・・さて、このような説明はどの程度信頼できるものなのだろうか? 非常に長期にわたるその他のマクロ経済面での現象と同様に、はっきりとした答えを得ることは難しいというのは確かだ。しかし、ベッカーの説明を支持するような研究はいくつかある。ニューヨーク連銀のエコノミストであるサンドラ・ブラック(Sandra Black)が1999年に行った研究(pdf)によると、規制緩和とグローバリゼーションの進展が製造業や銀行業の分野における男女差別の緩和を後押しした可能性があるという。また、スウェーデンの経済学者チームが2013年に実施した詳細な研究では、競争がそれほど激しくはない産業において特に言えることだが、企業買収が男女間の賃金格差の縮小をもたらしたとの結果が見出されている。その一方で、アンドレア・ウェーバー(Andrea Weber)とクリスティーン・ツーレーナー(Christine Zulehner)が共同で執筆している2014年の論文によると、女性に対して偏見を持っている企業はそうではない(男性も女性も平等に取り扱う)企業に競争で打ち負かされる傾向にあるということだ。その他にも、競争の激化と規制緩和が人種間の賃金格差の縮小をもたらしたとの証拠(pdf)も報告されている。

・・・つまるところ、頑迷な偏見は割に合わないということだ。

「アメリカ史上で最も重要なフェミニストはマイケル・ミルケン(Michael Milken)だ」とも言えるわけである。是非とも全文に目を通してもらいたいところだ。

(ミルケンに対する私のこれまでの態度はあまりにも厳し過ぎるものだったかもしれない。金融の技術革新を促す上で彼が果たした功績も勿論称えるべきだが、つい最近の彼は正真正銘の紳士ぶりを発揮しており、文字通りのフェミニストと言っても言い過ぎではないのかもしれない。)


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