経済学101は主に皆様の寄付によって賄われています。温かい支援をお待ちしています

アレックス・タバロック「不景気なときに卒業するのはキツかったりするよ」(2020年11月8日)

[Alex Tabarrok, “Graduating in a Recession Can Be Rough,” Marginal Revolution, November 8, 2020]

不況時に卒業するのはときにキツい。不況時には初任給がより低くなるし、その後の昇給ペースも遅い。トップ企業に採用されるのは難しいから、どんどん上に登っていくキャリアパスに乗るまでいっそう長くかかる。新卒時の労働市場条件が長期的にもたらす帰結をまとめた論文で Till von Wachter が述べているように、最初の一歩でしくじると、その後に与えられる選択肢は事態をいっそう悪くさせることの多いものとなる。

(…)新卒時の労働市場条件は、アルコール過剰摂取を長期的に増加させ (Maclean 2015)、中年期の肥満度を高め、喫煙・飲酒を増やす (Cutler, Huang, & Lleras-Muney 2015)。(…)1980年代の景気後退期に〔労働市場に〕参入した大卒者たちは、中年になって心不全を起こす率が高くなった (Maclean 2013)。これら様々な世代ごとに労働市場参入者を追跡調査した Schwandt & von Wachter (2020) の研究では、30代後半から、幸運な参入者たちに比べて不運な参入者たちは死亡率の格差を経験しはじめるのを見出している。この格差は40代でも開き続ける。心臓病・肝臓病・肺癌・薬物乱用の率がより高くなることが、彼らの死亡率を高めている。

(…)不運な世代の婚姻パターンは、労働市場に参入した時点から中年になるまで影響を受け続け、中年になったときに子供をもつ人たちが〔不運でなかった世代に比べて〕より少なくなっている (Currie & Schwandt 2014)。また、離婚を経験する確率もより高く、独身生活を続ける確率もより高い (Schwandt & Hill 2015)。

2010年に、Don Peck が The Atlantic 誌に一般向けに研究のいいまとめを書いている。これはいまだに必読だ:

イギリスのウォーウィック大学の Andrew Oswald といえば、幸福研究分野の開拓者だ。彼によれば、不本意なかたちで6ヶ月以上仕事につけないでいることほど、心の健康と幸福を損なう状況はない。これこそ、起こりうる最悪の事態だと彼は言う。彼によれば、働く意欲はあるのにずっと働けずにいるのは、配偶者を亡くしてしまうことに匹敵し、それ自体が「一種の喪失」だ。失業して給料が払われなくなったからといっても、それ自体はこの幸福度の低下のほんの一部しかもたらしていない。幸福度の低下の大半は、アイデンティティが腐食され、自分の値打ちがなくなってしまった結果らしい。失業が残す心の傷は復職してから後も残り続ける。夫の幸福・妻の幸福はたいてい密接につながっているため、惨めさは家中に広まる。

とくに中年男性の場合、オフィスや工場で勤めることに長らく慣れ親しんでいるため、失業するとジクジクするような居所のなさを味わうようだ。去年の秋に参加した失業者のための一連のワークショップでは、参加者の大多数を男性が占めていた。そして、とくに男性たちは自分のアイデンティティの瓦解・無職でいることの孤独感・落ちぶれていく不名誉について語っていた。

もちろん、不況期に卒業した人たちの大半は、大局的にはうまくやっていく。シエラリオネで大学を卒業する人生だってありえたんだ。でも、どんどん上に登っていくキャリアパスに乗りたいなら、ぜひ覚えておこう。最初の仕事は、最後の仕事じゃない。機会を探そう。リスクをとって早いうちに仕事を切り換える用意をしておくこと。ドラッグとアルコールはやめておくように。


コメントを残す

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください