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アレックス・タバロック「年齢で重み付けした投票方式はいかが?」(2019年7月24日)

[Alex Tabarrok, “Age-Weighted Voting?,” Marginal Revolution, July 24, 2019]

今日なにかの議会で政策が可決されたとして,その政策の効果を誰よりも長く経験するのは若者たちだ.言い方を変えると,(利己的な)年長世代の有権者たちの時間視野は短いので,これがバイアスとなって,赤字支出や地球温暖化の対応先送りといった近視眼的な政策に偏っているかもしれない.哲学者の MacAskill が代替案として年齢で重み付けした投票方式を提案している.

(…)政治的な時間の視野を広げるには,年齢で重み付けした投票という手がある.これは,ごく大雑把に平均余命に比例してより若い人たちほど年長世代に比べて1票の重みを重くするという案だ.たたき台として自然と思い浮かぶのは,こんなものだ(改善の余地はあるだろうとは思う):
  • 18-27歳: 6倍の重み
  • 27-37歳: 5倍の重み
  • 38-47歳: 4倍の重み
  • 48-57歳: 3倍の重み
  • 58-67歳: 2倍の重み
  • 68歳以上: 1倍の重み
1つ留意しよう.こうした重みをつけたとしても,(実効的な*)有権者の年齢の中央値は(アメリカでは) 55 から 40 に下がるだけだろう.(この数字を教示してくれた Zach Groff に感謝) 中位投票者定理は投票の政治力学をおおよそうまくとらえていると仮定すると,(近似的な)平均余命で重みをつけると多少は政治的な時間の視野を伸ばすことになるものの,若者が政治的な力を独り占めする結果にはならないだろう. (…)このシナリオでは,あらゆる市民が平等な投票の重みをもっている.たんに,その票の重みが生涯にわたって均等に分布していないだけだ.

MacAskill は当然問うべきことを問うている:

若い人たちほど将来の時間視野が長いというのは本当だろうか?

政治的な時間視野を20年伸ばすと,〔20代の若者がもつと想定されるような〕それよりずっと長い視野の便益を提供してくれるのだろうか?

若い人たちは眼識にとぼしく,最悪の意志決定をやってしまいがちなのではないだろうか?

これは,たんに特定の(左派の)政治的な見解を推し進める便法にすぎないのでは? 〔おそらく,若い人たちは左派的な見解をとりがちだという前提でこう問うている〕

この方式を実施した場合に,実際に起こるのはどんなことだろう?

そうした効果は,どれくらいよい・わるいものになるだろう?

年齢で重み付けする投票方式を実施する最善の仕組みはどんなものだろう?

年齢で重み付けする投票方式を現実世界で行う最善の計画はどんなものだろう?

こうした問いにどんな答えが提示されているのか知りたい読者は,全文を読んでみてほしい.

この提案に対して,ぼくはこれといって大きな異論はない.ただ,これで政治が大きく改善することはないだろうと思っている.合理的な無知により,有権者はあまりものを知らない.また,合理的な非合理により,有権者はもっと知ろうとする気を起こさない.そこで問題なのは,集団の意志決定のものであって,存在しない中位投票者の時間視野ではない.とはいえ,ありうる統治の設計にはあれやこれやたくさんあって,そのなかでこれまでに検討されてきた設計はほんの一部でしかない.まして,実際に使用された設計となるともっと少ない.だから,この設計のいろんな可能性を探る試みには賞賛をおくりたい.


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