経済学101は主に皆様の寄付によって賄われています。温かい支援をお待ちしています

アレックス・タバロック「忘れられた1957年パンデミックと景気後退」(2020年3月24日)

[Alex Tabarrok, “The Forgotten 1957 Pandemic and Recession,” Marginal Revolution, March 24, 2020]

1957年のアジアインフルエンザ・パンデミックでは,アメリカ国内で7万人~10万人の死者が出た(57年インフルエンザは COVID-19 ほど感染率も死亡率も高くなかった).1957年の第4四半期に,経済成長率(年率換算)は -4% になり,翌58年の第1四半期には -10% まで落ちた.これは,第二次世界大戦後では最大の成長率低下で,のちの金融危機のときよりも大きい.だが,1958年の第3~第4四半期に成長率は大きくもどして 10% 近くにまで上がった.通年でみると,GDP の低下は 1% 未満となっている―――悪い景気後退にはちがいなく,第二次世界大戦後では3番目に深刻ではあったけれど,前例がないような景気後退ではなかった.

興味を引くのは次の点だ.多くの情報源では,このパンデミックを景気後退の原因に挙げてすらいない(e.g. ここここここ.ウィキペディア英語版はいくつかある原因のひとつに挙げている).それどころか,57年パンデミックはすぐさま忘れ去られた.ジェイムズ・パターソンの『大いなる期待:合衆国史,1945-1974』〔邦訳なし〕では,このパンデミックにも景気後退にも言及すらしていない.1950年代の好況期しか述べられていない.ここからなにを読み取ればいいのか,いまひとつわかりかねている.〔57年~58年の〕景気後退は世界規模だったから,インフルエンザが原因だったんじゃないかとぼくは思う(死者数は少なめだったけれど,病気になった人はもっと多かっただろう).でも,ここにある FED のレビュー(1958年8月)では,インフルエンザにも言及していない.


コメントを残す

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください