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アレックス・タバロック「社会主義の道徳への影響」

Alex Tabarrok “Moral Effects of Socialism“(MarginalRevolution, July 19, 2014)


ダン・アリエリーとその共著者は興味深い新論文において、ドイツの東と西で育った人々の道徳的行動、具体的には不正行為について調べている。

1961年から1989年にかけて、ベルリンの壁が1つの国家を2つの全く異なる体制に分割していた。私たちはこの自然実験を利用し、社会政治的背景が個人の正直さに影響を与えるかどうかを調べた。抽象的なサイコロ投げの課題を用いたところ、社会主義の下に置かれた東ドイツ人は資本主義の下に置かれた西ドイツ人よりも不正行為を多く働くことを見出した。私たちはさらに、不正行為は妥当な反論が可能な状況においてより高い確率で起きることも見出した。

もし社会主義が本当に個人の不正直さを促すのであれば、この社会政治制度のどういった要素がこうした結果をもたらすのかを今後見極める必要がある。東ドイツの社会主義体制は、西ドイツの資本主義体制といくつか重要な点で違っていた。第一に、この制度は能力に基づいて仕事に報酬を与えず、また財産を蓄積することや何らかのものを家族に譲ることを難しくした。これは目的意識の欠如を引き起こして道徳心の低下を引き起こした可能性があり(Ariely et al., 2008)、またおそらく正直さの規範を維持する気持ちも薄れさせた。さらに、政府は人々のために存在すると主張されていた一方で、機能的な公共制度や経済の安定を提供するのに失敗した。政府におけるこのような道徳的欺瞞を目にすることにより、市民が正直さに置く価値が減じた可能性がある。最後そしておそらくもっとも直接的なことに、人々が公的な法に立ち向かい、制度に付け込むために不正を働くような圧力を政治および経済制度が与えた。時と共に、各個人はこうした類の行動を普通と考えるようになった可能性がある。こうした異なったありうべき影響を念頭に、社会主義のどういった側面が道徳に対して最も強力あるいは最も長く続く影響を与えたのかについて、更なる研究が必要である。

アリエリーらが不正行為を社会主義による結果だとして説明しようとしているのは興味深い。私自身のアプローチとしては、資本主義の倫理と次に引用するモンテスキューの有名な一節についてのものとなるだろう。

商業は最も破壊的な偏見に対する治療薬である。ほぼ一般的な法則として、どこであれ私たちが好ましい立ち居振る舞いを見かけるのは商業が花開く場所であり、どこであれ商業が花開く場所では私たちは好ましい立ち居振る舞いを見かけるのである。

このテーマと整合的なそのほかの研究としては、アル・ウバイディらの市場の呼び水(プライミング)効果1 にするものの他、とりわけてもマクロスキーブルジョワの倫理を参照してほしい。

  1. 訳注;プライミング効果とは、あらかじめ被験者に特定の情報を与えておくことで、被験者の後の刺激に対する反応が影響を受けるというもの。リンク先の研究では、あらかじめ被験者に市場に関する用語を教えておくと、その後のゲームにおいて相手を信頼する確率があがるということが示されている。 []

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