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アレックス・タバロック「著作権保護主義」

[Alex Tabarrok, “Copyright Protectionism,” Marginal Revolution, August 5, 2016]

「著作権はイノベーションを促す」という主張は,保護主義の口実にすぎない.知的財産保護がイノベーションを促すこともときにはある.「タバロック曲線」が例証するとおりだ.でも,既存の仕事の著作権が繰り返し延長されるのをみれば,これが口実だってことははっきりわかる.ウォルト・ディズニーの死去がとっくの昔になってから,ミッキーマウスの著作権は延長された.聞くところじゃ話は逆で,どうやら著作権を延長してどれほどインセンティブをつけてみたって,ウォルトさんはこの世に戻ってこないっていうじゃねえですかい.この問題の最新事例が,欧州連合がデザイン著作権の延長するっていう先週のニュースだ:

チャールズ・イームズの椅子や,アイリーン・グレイのテーブルや,アルコランプといった20世紀半ばの古典作品の値段は急上昇することになりそうだ.これまで家具の著作権はデザイナーの死去から25年まで保護されていたが,今週から施行された EU による規制で,保護期間が70年に延長される

(…)現在,デザイナーの死去から25年が経過すれば,企業は複製品を販売できる.だが,イギリス政府によって実施が早められた今回の EU の規制では,保護期間が70年に延長される.イームズは1978年に亡くなった.70年の保護期間は,彼がデザインした多くの椅子・テーブル・時計の権利にあてはまり,2048年まで延長される.妻のレイと共同でデザインしたものでは,保護期間がさらに10年長くなる.彼女の死亡年は1988年だからだ.

死んだ人たちは,概してあんまり創造的じゃないものだ.だから,こうして遡及的に著作権を延長してもイームズから引き出せるイノベーションは大して多くないんじゃないかな.もちろん,〔期間延長の本当の〕ねらいは創造力を引き出すことにはない.ねらいは,過去のデザインがたまたま永続的な価値をもっていた一握りの人たちの既得権(レント)を保護することにある.

著作権の遡及的な延長は,著作権の背後にある考え方を逆立ちさせている.著作権をインセンティブとして支持する主張は,こんな具合だ――「デザインが十分に足りてないぞ,じゃあもっと産み出すインセンティブを高めようじゃないか」 一方,著作権支持で実際に言われてる主張はこんな感じ――「人気のデザインがたくさんあるぞ,こいつらを高値で売り続ける必要があるな」

さらに,この戯言でもまだ足りないというなら,こんなオチはどうだろう:

デザイン本を出版している企業は,写真の複製にいくつものライセンスを取得しなくてはならないかもしれない.なにしろ,デザインに著作権がついて回るからだ.

多謝:すばらしきマーク・ソーソンに.


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