アレックス・タバロック 「特許とイノベーションとの関係をめぐるタバロック・カーブ」(2013年6月23日)

●Alex Tabarrok, “The Tabarrok Curve in the WSJ”(Marginal Revolution, June 23, 2013)


マット・リドレー(Matt Ridley)がウォール・ストリート・ジャーナル紙に記事を寄稿している。テーマは、特許ならびにタバロック・カーブ(Tabarrok Curve)。

経済学者のアーサー・ラッファー(Arthur Laffer)と言えば、1974年にワシントンホテルで、ディック・チェイニー(Dick Cheney)とドナルド・ラムズフェルド(Donald Rumsfeld)を相手に会食した際のエピソードが有名だ。ラッファーは、二人の目の前で、紙ナプキンの上に、あの有名なカーブ――税率がある特定の水準を超えて引き上げられると、税収はかえって減ることを示したカーブ――を描いたのである。

昨年のことだが、別の経済学者が、ヴァーチャルなナプキン(ナプキンのweb画像)の上に、ラッファー・カーブとそっくりなカーブを描いてみせた。その経済学者とは、ジョージ・メイスン大学に籍を置く、アレックス・タバロック。そのカーブでは、知的所有権の保護の程度がある特定の水準を超えて強化されると、イノベーションはかえって減退する様が描かれている。現状のアメリカの特許法では、知的所有権の保護が行き過ぎていて、そのカーブの最適な水準(イノベーションが最も活発となる水準)を大きく超えている、というのがタバロックの考えだ。

先週、アメリカ最高裁は、ヒト遺伝子は特許の対象とはならない、との判決を下した。ヒト遺伝子は、発見(discoveries)されたのであって、発明(inventions)されたのではない、というのがその理由。ただし、乳がんの発症と関わる遺伝子から人工的に合成されたDNAについては、発明と見なすべきとの判断も示された。タバロックの考えによると、今回の決定も含めた最近の判決は、1980年代~90年代に推し進められた特許権強化の流れに逆らうものであり、特許法を正しい方向へと導き直す動きと見なせる、ということだ。

ラッファー・カーブを一躍有名にしたのは、(ウォール・ストリート・ジャーナル紙の記者だった)ジュード・ワニスキー(Jude Wanniski)とウォール・ストリート・ジャーナル紙だった。私も大きな望みを持ってもいいみたいだね。

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