The anatomy of anti-liberalism
Posted by Joseph Heath on February 19, 2017 | Canada, multiculturalism
金曜日(17日)、カナダ市民は、醜悪な見世物に直面させられた。トロントにあるモスクのすぐ外で、ムスリム系移民の停止と、カナダにおけるイスラム教の禁止を訴える抗議活動が行われたのだ。報道によると、抗議活動の参加者は、総計でわずか15人だったようだ。なので、わざわざ騒ぎ立てることではない。しかしながら、この件が、103号動議 [1] … Continue reading に関してウソを付き続けている、あるいは馬鹿騒ぎを続けている、カナダ保守党の構成員全員に、自制を促す事にはなるべきだろう。
この件にこれ以上言及する必要は感じないが、CBCラジオによる、抗議活動の参加者の1人である、女性へのインタビュー(オンラインでは聞けないようだ [2]訳注:現時点では、CBCの報道記事でインタビュー動画を見ることが可能。 )は、グレートですよこいつはァ、という感じであった。多くの人が、党派性に縛られないリベラルな社会認識を共用している、との今日の一般的見解がある。この見解は、まったく実情にそぐわない事を、私は多くの事例から知っている。ただそれにしても、反リベラル的見解が、ここまで簡潔で要を得て意思表示されているのを、見聞きできることは滅多にない。インタビュアーが、女性に「あなた方の抗議活動と、シナゴーグ [3]訳注:ユダヤ教の教会。正式には『会堂』と呼ばれる 前での反ユダヤ主義の抗議活動との違いは何ですか?」と根源的な質問をしている。女性の返答は、おおよそになるが「ユダヤ主義は邪悪じゃない! イスラムは邪悪!」だった。
完璧な返答だ。彼女らはもはや信教の自由すら認めていない。単純に宗教をひとつづつ見比べた後に、「善」と「邪悪」を判別し、「善」だけを認めよう、というわけである。誰か、ケリー・レイッチ [4]訳注:「『反カナダ的価値観』を持った移民を排斥すべきである」と唱えている、去年、ヒースが批判した、カナダ保守党の政治家。 に教えてやるべきだ。 移民を「選別」する、よりよい方法として「善」なる人と「邪悪」なる人を単純に分けた上で、「善」なる人だけを残すのである。邪悪に仕える人を除けば、この選別政策に反対する人なんていないだろう?
この件は、人は本当に「リベラリズム」をどの程度受け入れているか、どの程度自分のものにしているかどうか、を測定する良いテストとして出題されている。抗議者達の主張を聞いた時の、あなたの率直な反応が「馬鹿馬鹿しい。イスラム教は邪悪じゃない」のようなパターンだったら、あなたはインタビューに答えていた女性とだいたい同じくらいリベラルだ。もし反応が「馬鹿馬鹿しい。個人の自由に関する問題群が、『善悪』かどうかだけの皮相的な判定に収まるわけがないだろう」のようなパターンだったら、主流派エリートの見解へようこそ!