従業員の「ポテンシャル」の主観的評価は,広く利用されている.本研究では,この「ポテンシャル」評価が昇進と賃金の男女差に寄与していることを示す.大手小売りチェーンの管理職コース従業員 3万名のデータを用いた本研究では,業務実績の評価はより高いにもかかわらず女性のポテンシャル評価は大幅に低いことが見出された.ポテンシャル評価の差は,男女の昇進格差の 30%~50% を説明する.女性のポテンシャル評価の方が低いが,これは将来の実績の正確な予想にもとづいてはいないように見受けられる:すなわち,同じポテンシャル評価を与えられた男性・女性をみると,平均的な昇進でも昇進の上限でも,男性の方が女性を上回っている.だが,それまでに予想されていたポテンシャルを上回る実績を女性が上げてもなお,彼女たちがその後に与えられるポテンシャル評価は低いままにとどまっている.ここから,企業は女性従業員のポテンシャルを執拗に過小評価していることがうかがえる.
Benson, Li, & Shue による論文はこちら.Via 優秀なる Samir Varma.