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タイラー・コーエン 「『精神病的傾向』が高いのは『保守派』ではなく『リベラル派』? ~社会科学の悲しき現状~」(2016年7月15日)

●Tyler Cowen, “How social science got the “psychoticism” factor wrong”(Marginal Revolution, July 15, 2016)


「『保守派』は『精神病的傾向』(を測る尺度の値)が高い傾向にある」との結果を得た論文1には統計データの処理で誤りがあって、本来は「『リベラル派』は『精神病的傾向』(を測る尺度の値)が高い傾向にある」というのが正しかった・・・ってな話があったのは覚えてるだろうか? そもそもの話として、いかにして誤りが起きたんだろうか? 誤りが修正されるまでに長い時間がかかったのはどうしてなんだろうか? この件についてジェシー・シンガル(Jesse Singal)がスクープを報じている。少しだけ引用しておくと、

ルディケから何度も突っ込みがあったことはハテミも認めている。ハテミと電話で話して確認したところ、件の誤りは些細なものであり、論文の引用回数も大して多くなく、周りが騒ぎ過ぎであることを繰り返し訴えた。ハテミ曰く、「この誤りは本題から逸れる論点に関わるものですし、些細なものです。相関係数の符号の向きがプラスであろうとマイナスであろうと2、〔我々の結論3がひっくり返ることはないという意味で〕大して重要じゃないんです」とのこと。ハテミはこうも語った。「何かしらのストーリーらしきものをお伝えできればいいんですが、そんなものはありません。お伝えしたいところなんですがね。あえてまとめると、次のようになるでしょうかね。誤りを正直に認めた人にそれを正す機会を与えるべきか否か。あるいは、誤りを認めたからといって、あることないことをあげつらって中傷するのを許すべきか否か」。

ってな調子みたいだ。「自己中心的なくそったれ」のように(“like dicks”)振る舞う学者連のエピソードも含めて、リンク先の記事では事の顛末が詳しく取り上げられている。記事の結論は以下の通り。

社会科学の世界は、再現者(実験やデータ解析の再現を試みる者)や挑戦者――研究の質・厳密性を高める手助けをしてくれるルディケのような存在、その道の権威の言い分や杜撰(ずさん)な研究を易々と受け入れるのを防ぐ手助けをしてくれるルディケのようなぶつくさ屋――を受け入れる余裕がまだ無いようだ。

情報を寄せてくれたダニエル・クラインに感謝。

  1. 訳注;本サイトで訳出されている次のエントリーで紹介されている論文がそれ。 ●タイラー・コーエン 「パーソナリティーと政治意識の複雑な関係」(2021年7月19日) []
  2. 訳注;「精神病的傾向」(を測る尺度の値)が高いのが「保守派」であろうと「リベラル派」であろうと、という意味。 []
  3. 訳注;性格特性(パーソナリティー)と政治意識(保守派かリベラル派か)との間に確認される相関関係は、性格特性から政治意識へという因果関係――性格特性こそが政治意識を育む原因であること――を示唆するものではない、との結論 []

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