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タイラー・コーエン「ギリシャはユーロ圏を本当に離脱するか」

Tyler Cowen “Is Greece really going to leave the eurozone?” (Marginal Revolution, February 17, 2015)

誰にもわからないね。最新のヘッドラインやツイートへの反応が過剰すぎるのかどうかも。様々な政党がバラバラになればなるほど、譲歩を迫る圧力は強くなる。合意が近いように見える分だけ、強硬な態度を取って更なる譲歩を要求するインセンティブは大きくなる。だから短期的なニュースは解釈が難しく、そうしたものに執着してはだめだ。ある方向への振れは、かなり多くの場合逆方向への振れを意味している。たとえ後者はまだヘッドラインになっていなくてもだ。つまり最新のニュースによる振れの方向は、そんなに多くの情報はもたらしてくれない。

ギリシャがどうなるかについては、よく言うところの「最後の鐘」が鳴る、すなわちギリシャから預金が危機的な速度で逃げ出す(逃げ出さないかもしれない)か、ECBが緊急流動性支援を打ち切る(打ち切らないかもしれない)までは分からないだろう。

だったらなぜ、ギリシャがユーロ圏を離脱すると私は考えているのか

第一に、いま現在の評論(のほとんど)はギリシャ経済におけるまさに最近の財政破綻1 の原因をきちんと説明できているように思えない。この問題に何らかの解決があったのか分からないし、「失敗国家(failed state)」という言葉が頭に浮かんでくる。現在の流れが良い方向であるようには見えない。

第二に、シリザ2 、彼らのことを「あまり真剣でない人たち(The Not Very Serious People)3 」と呼んだこともあるが、彼らが首尾一貫した交渉戦略を持っているとは全く思わない。幅広く歴史を紐解けば、決定的な立場にある指導者たちはかなり多くの場合自分が何をしているのかを分かっていないことが分かる。これは決して常にそうであるというわけではないけれど、根拠が薄く押し付けがましいジャーナリズムが勧めてくる理解よりは正しいことが多い。

第三に、私たち外から見ている人間は、10~15年あるいはそれ以上続いてきた傾向や物事の状態の永続性というものを過剰評価する傾向にある。そうしたもののうちには大平穏(the Great Moderation)が含まれるし、ユーロ圏におけるギリシャもそうだ。より幅広い歴史的見地に立てば、ヨーロッパは一つ以上あるし、私にはこの一つのユーロ圏という取決めは全くナンセンスに思える。だからその終わりの予測は喜んでしよう。そして来年がそうした終わりがやってくる年となる見込みはかなりある。

第四に、ギリシャに対する譲歩は他所におけるより大きな譲歩を意味し、スペインのポデモス4 を付けあがらせることになるという多層構造のゲームであるという考えがユーロ圏の債権国でどれだけ広まっているかを強調する評論家は今でも少ないと思う。

第五に、たとえ明日か明後日に手頃な協定がサクッと結ばれたとしても、この先数年間ギリシャが真に安全な領域になるとはとても思えない。

これらの理由全ては推測であって、確固たるものでも具体的な情報に基づいたものでもないということを認めるのには吝かじゃあない。でもこれが私の思うところとその理由だ。こうした予測はあまり科学的ではないと思うけど、議論を行い、そして次には何が間違っていたのかを検討することで先へと進んでいくことになるんだ。

  1. 訳注:リンク先では、総選挙前のギリシャでは左派政権が財政を緩めることを期待し、税金の支払いを拒否しているという記事が紹介されている。その記事の中であるギリシャ財務当局関係者は、総選挙期間中に税収が落ちるのはいつものことだが、今回はそれが常になく酷く、歳入は破たん状態にあると述べている。 []
  2. 訳注;SYRIZA(急進左派連合)。2015年1月のギリシャの選挙で第一党となった、強硬な反緊縮政党。 []
  3. 訳注:Very Serious Peopleは財政問題を大げさに心配する人々を皮肉る時にクルーグマンがよく使う言葉 []
  4. 訳注;スペインの左派政党 []

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