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タイラー・コーエン「実際のところスウェーデンの秩序はどれくらい乱れているの?」

[Tyler Cowen “How disorderly is Sweden really? ” Marginal Revolution, February 21, 2017]

Here is the latest, which is in the media but not being plastered all over my Twitter feed:
最新ニュースはこちら.メディアには出ているけれど,いまのところぼくのツイッターフィードをびっしり埋め尽くすほどの話題にはなっていない:

スウェーデンでは移民によって近年暴力が多発していると事実と異なることをほのめかしていると受けとれるトランプ大統領の発言で動揺が広がってからほんの2日後に,スウェーデンの首都ストックホルムの北部郊外にある移民を主体とする地域で暴動が発生した.

今回の暴動が起きた地域である Rinkeby では,2010年と2013年にも暴動が起きている.月曜の深夜に起きたことは,かつて起きた怒りの発露とほとんどの点で似ている.スウェーデンの警察は,Rinkeby駅のちかくで午後8時ごろに1名を逮捕したらしい.警察から理由の公表はまだなされていないが,逮捕されたその人物の言葉によって,若者たちが集まって群衆をなしたようだ.

4時間にわたって,群衆は5~6台の自動車を燃やし,数件の店先を破壊し,警官に対して投石を行った.スウェーデンの新聞 Dagens Nyheter 紙の取材に答えて,警察の広報担当 Lars Bystrom は,暴徒に当てる意図をもって発砲した警官が1名いたことを認めた.同紙の写真家は10名を超す男たちに襲撃されカメラを盗まれたが,ケガを負った者はおらず,逮捕者すら出ずにおわった.

依然として,オーランドーのようなアメリカの都市の年間殺人件数の方が,スウェーデン一国のそれを典型的に上回っているという話は正しい.だが,秩序を乱す騒動をはかる尺度に主観的なものと客観的なものを区別するのも大事だ.ドイツで道路を斜め横断すれば公的秩序を乱し規範に背くことになるが,同じことをたとえばニュージャージーでやってもそれほどのことにはならない.スウェーデンは比較的に秩序正しい.ひとつには,文脈が違えばそれほど顕著でないと受け取られそうであっても,同じ行為が秩序に反するものとして受け取られ,それに対する反応が比較的に厳しくトラウマのようになるからだ.いま起きているレベルの秩序騒乱は,ナイジェリア人にとっては騒乱どころか馬鹿馬鹿しいほど整然としているように思えるかもしれないとしても,スウェーデンの規範はこれに脅かされている,ということも大いにありうる.

また,移民がスウェーデンの学校制度の平均的な質や PISA スコアを下げている大きな理由になっていると考えるべき相応の証拠もある.他の文脈であればこうした変数は信じられないほど顕著だと取りざたされるだろうに,この文脈ではおおよそ無視される結果となっている.

だが,なにより単純な測り方は,スウェーデンに親しみがありつつも直接の自己利害がかかっていないスカンジナビア諸国やヨーロッパ諸国の市民たちに,じぶんたちの国でも移民受け入れの歴史でスウェーデンと同じ経路をたどりたいかどうかたずねてみることだろう.そういうデータを目にしたことはないけれど,きっと「たどりたい」という回答の率はかなり低くなるはずだ.同じことは,カナダやオーストラリアについては言えないだろうし,ついでに言えばアメリカも同様だろう.

今回の問題全体について言えば,トランプの発言が正しかったなんてぼくも言わないし,外交面で無責任な発言だったのはまちがいない.ただ,トランプを批判する人たちが提示する議論全体はいっそう現実から遠いものとなっているし,トランプに耳を傾ける人がこれほどいる理由の一端はそこにある.


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