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タイラー・コーエン 「ロバート・ブラウニング、イングマール・ベルイマン、コロナ禍における娯楽」(2020年3月16日)

●Tyler Cowen, “Robert Browning and Ingmar Bergman in a Bloomberg column”(Marginal Revolution, March 16, 2020)


バーに通ったり、コンサートに出かけたり、はたまたマラソンを走りに出かけたりする聞かん坊たちがいることを思うと、コロナ禍において自宅でも楽しめる娯楽をどうやって提供するかという問題を何とかして解く必要がある・・・ってなことをブルームバーグに寄せた拙稿で論じたばかりだ。

第二次世界大戦時のエンタメ業界の状況を振り返ると、教えられるところが多い。当時、米政府はハリウッドが陽気な映画を制作するのを強力に後押ししたし、役者を徴兵しようともしなかった。メジャーリーグ(プロ野球)は当時の国民的な娯楽だったが、戦争中も従来通りにレギュラーシーズンだけでなくワールドシリーズ(優勝決定戦)も開催された。テッド・ウィリアムズをはじめとして一流選手の中には兵役につくことになった面々もいたが、空いた穴を埋めるかのように代わりがちゃんと出てきた。当時の米政府は、戦争というドラマだけでは国民の欲求(ドラマを求める欲求)を満たしきれないってことがわかっていたのだ。

コロナ禍の中では、エッセンシャルワーカー以外のみんなに自宅待機をどうにかして続けてもらうことが課題となる。しかし、自宅にいるのがあまりに退屈だと、外出できないイライラが募ってきて、やがては町に繰り出す人が続出する可能性がある。自宅でじっと我慢しておくべきなのに、大勢で集まってワイワイやり出す可能性がある。新型コロナウイルスの被害を最小限に抑えるためにも、国民の心身を健康に保つためにも、気晴らしになる娯楽をどうやって提供するかという問題を解くことは極めて大事なのだ。

最悪極まりないシナリオは、コロナウイルスそれ自体――コロナの感染状況だったり、国のお偉方なり有名人なり隣人なりのコロナへの反応だったり――が一番の娯楽となることだ。 コロナ禍という名の「現在進行形のホラーショー」を鑑賞しているうちに正気を失い、政治に対してますますシニカル(冷笑的)になっていく観客たち・・・。最悪、そうなってしまう可能性があるのだ。

不満やら恐怖やらに苛(さいな)まれる事態を避けるために、私なりにささやかな提案がある。従来からあるエンタメにちょっとだけ手を加えて、コロナウイルスを寄せ付けないエンタメに作り変えればいいのだ。

Twitterで見かけた意見だが、どこかのケーブルテレビ局が数ヶ月限定でネット配信を無料で見れるようにしてみるっていうのはどうだろう? そう言えば、メトロポリタン・オペラが無料でネット配信を始める予定らしいね。

続きをもう少しだけ引用しておこう。

あるいは、NBA(米プロバスケットボール)のファイナル(優勝決定戦)もどきをやってみるっていうのはどうだろう? ちゃんと実力のあるチームを選んで、選手全員にPCR検査を実施する。そして、辺鄙(へんぴ)なところにある大学の体育館に選手たちを隔離する。試合時間は従来よりも短くして、テレビカメラマンを一人だけ中に入れて、試合の模様をテレビで放映するのだ。公けのイベントがどれもこれも中止されていることもあって、視聴率もおそらくは史上最高値を記録するだろうし、この上ないドラマを味わえるだろう。決して忘れられないファイナルになるだろうし、観ている側の気持ちの高ぶりもあってプレイの質もそりゃもう格別に見えることだろう。

ワシントン・ポスト紙の記者であるベン・ゴリバー(Ben Golliver)がNBA向けのコロナ対策を提案しているので、あわせて参照されたい。

タイトル詐欺で申し訳ないが、ブラウニングベルイマンの話はここでは引用していない。気になるようなら、冒頭で貼ったリンク先に飛んでもらって、全文に目を通してもらえたらと思う(ただし、ベルイマンの話題はイースターエッグみたいにどこかしらにひっそり潜ませてあるので要注意)。そう言えば、チェスの候補者トーナメントは予定通り開催されるみたいだね。何週間かは全試合ネットで無料で見れるから、www.chessbomb.comをチェックしてみるといい。確か火曜日から始まるんじゃなかったっけ。

「外に出ちゃいけません!」って説教するだけじゃうまくいかないだろう。家に閉じ篭(こも)っていても楽しめるようにする必要があるのだ。


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