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タイラー・コーエン 「学級規模はそれほど重要ではない」(2003年9月19日)

●Tyler Cowen, “Class size doesn’t matter much”(Marginal Revolution, September 19, 2003)


学級規模(1クラスあたりの生徒の数)を縮小しても(クラスの少人数化を推し進めても)生徒の成績は大して改善されない。つい最近の(2003年に実施された)OECD(経済協力開発機構)の研究でそのような結論が導き出されている(教育問題を専門とするブロガーのジョアン・ジェイコブズ(Joanne Jacobs)1もこの研究についてコメントを加えている)。学級規模は生徒の成績に影響を及ぼす要因としてはそれほど重要なものではないという結果はこれまでにも得られている2が(この点についてはこちらのサーベイ(doc)とこちらのノートも参照されたい3)、ダグラス・ウィルムス(J. Douglas Willms)(pdf)が率いる今回のOECDの国際比較調査はそのような過去の研究結果を裏付ける格好となったわけだ。もし仮にアメリカで学級規模の縮小が推し進められることになれば教師の質の悪化という「意図せざる結果」がそれに伴うことだろう4。〔というのも、学級規模が縮小すればそれに伴って必要となる教師の数が増えることになるが、必要な教師の数が増えるにつれて(新たに採用される)教師の質も徐々に低下する可能性があるからである〕。

どうにかして生徒の成績を高めたい(教育の質を高めたい)。そう考えるのであれば、学級規模を縮小することよりも大きな効果を秘めている以下のような方法を試してみた方がいいだろう。

・・・教師と生徒との関係改善を図る(よりよい人間関係の構築を図る)、読み書きの専門家(literacy specialist)を学校に雇い入れる、文字を読む能力がなかなか身につかないでいる(学習障害の傾向のある)小学2年生以下の児童に対して早めに特別な支援を行う、学級経営(classroom management)の充実を図るために教師にそのための術を教え込む、家庭での本の読み聞かせを推奨する、幼児教育プログラムの充実を図る

ジェイコブズが語るところによると、学級規模の縮小によって最大の恩恵を被る可能性があるのは幼稚園児や小学校に入学したばかりの1年生(その中でも様々な面で不利な立場に置かれている児童)ではなかろうかということだ。

  1. 訳注;該当エントリーはリンク切れ。その代わりに「学級規模」(class size)というタグがついている一連の記事に飛ぶように訳者の側でリンクを張り替えてある。 []
  2. 訳注;ナショナル・ポスト紙(カナダの新聞)の“Class size overrated, research suggests”(by Heather Sokoloff, September 18, 2003)というタイトルの記事にリンクが張られているが、こちらもまたリンク切れ。その代わりにこの記事を全文引用しているブログエントリーにリンクを張り替えてある。 []
  3. 訳注;学級規模の縮小が生徒の成績に及ぼす影響について検証した先行研究のサーベイとしては次の記事も参照されたい。 ●畠山勝太, “「35人学級見直し議論」を大人の茶番ですませてはいけない”(synodos, 2014年11月11日) また、学級規模の縮小が生徒の成績に及ぼす影響を日本のデータを用いて実証的に検証した試みとしては次の記事で紹介されている研究を参照されたい。 ●赤林英夫, “少人数学級政策の教育効果の不都合な真実”(synodos, 2015年2月4日) []
  4. 訳注;学級規模が縮小しても生徒の成績が大して改善されないのは(学級規模の縮小に伴って)教師の質が悪化する可能性があるからだ、ということをこの一文でおそらく言いたいのだろう。 []

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