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タイラー・コーエン 「急速な経済成長を遂げている国で、時に高めのインフレが相伴うのはどうしてか?」(2013年9月9日)

●Tyler Cowen, “Why are the high growth countries so often the high inflation countries?”(Marginal Revolution, September 9, 2013)


inflationindex

冒頭の図は、クリストファー・ボルディング(Christopher Balding)の論文から転載したものだ。ところで、上の図で対象となっている期間(2000年~2011年)外の話になるが、韓国が史上最も急速な勢いで成長を遂げていた際には、インフレ率は時に15%を超えることもあった。「ナイーブな」供給サイドのモデル1 から示唆されるところとは反対に、 経済成長が減速気味の国では、しばしばデフレーションあるいはデフレ圧力が相伴う傾向にあることも指摘しておこう。

急速な経済成長を遂げている国で、時に高めのインフレが相伴うのはなぜなのか? 少なくとも2つのメカニズムが思い浮かぶ。経済成長が急速に進み、それに伴って、賃金(名目賃金)も急速に伸びるようであれば、国民はそれほどインフレを気にしない(嫌わない)かもしれない。そのあたりが絡んでいるというのが、まず一つ目のメカニズム。

二つ目のメカニズムとしては、急速な経済成長が進む中で、マーケットがフォワードルッキングに(将来を見据えて)振舞う場合には、ロング=プロッサー(1983)2 流のメカニズムを通じて、信用(銀行貸出等)の伸びが足許での生産の伸びを上回る可能性がある。その結果、今すぐにでもインフレ圧力が生じることになろう。

言うまでもないだろうが、以上の2つのメカニズムは、互いに排他的なわけではない。それはともかく、インフレ率の観測値が低いからといって、サプライサイドで「停滞」ショック3 が生じている可能性はとりあえず退けておいていいとはならないわけだ。その実、インフレ率が低いのは、サプライサイドでネガティブなショックが発生している証拠であるかもしれないのだ。

<追記>Interfluidityが、人口動態とインフレ率との関係について興味深い考察を行っている。 カール・スミス(Karl Smith)のコメント(こちらこちら)もあわせて参照されたい。

  1. 訳注;おそらくは、AD-ASモデルでのAS曲線の左シフトを想定しているものと思われる。経済成長の減速の原因が潜在成長率の低迷にある場合、AD-ASモデルでは、その状況はAS曲線の左シフトとして表現される。AS曲線の左シフトは、物価の上昇圧力となる。 []
  2. 訳注;おそらくは、次の論文。 ●John B. Long, Jr. and Charles I. Plosser, “Real Business Cycles(JSTOR)”(Journal of Political Economy, Vol. 91, No. 1 (Feb., 1983), pp. 39-69) []
  3. 訳注;潜在成長率の低迷、ネガティブなサプライショック []

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