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タイラー・コーエン 「難解さの過大評価?」(2003年12月30日)

●Tyler Cowen, “Do we overvalue the difficult?”(Marginal Revolution, December 30, 2003)


とある実験によると、詩をはじめとするアート作品に対する鑑賞者(被験者)の評価はその作品が完成されるまでに長い時間を要したと伝えられると高まる傾向にあるとの結果が得られている。その実験結果をまとめた(4名の心理学者の手になる)論文はこちら(pdf)。制作するのに多くの「努力」が払われていると知るとその作品の評価は高まるというわけだが、その効果は「質」を判断するのが難しい作品ほど大きいとのことだ。難解な作品(理解するのに時間や労力を要する作品)ほど鑑賞者から高く評価されがちという結果を得ている別の研究もある。

以上の話はアートなるものについて一体どのようなことを意味しているだろうか? 我々はハイカルチャーに括られる難解な作品を過大評価しがちな一方で、とっつきやすい(大衆受けしやすい)作品を過小評価しがち。そのように言えるかもしれない。言い換えると、『となりのサインフェルド』はみんなが思っているよりも出来の良い作品なのだよ。

冒頭でリンクを貼った論文ではジャクソン・ポロック(Jackson Pollock)にまつわるエピソードも紹介されている。ポロックが描く絵に対する同時代の評価として「あんな絵は誰にでも描ける」という批判があったというが、ポロックの絵は長い時間をかけて制作された血と汗の結晶であって誰でも真似できるような代物なんかではないというのが本当のところなのだ。「ポロックは作品の制作に多大な努力を注いでいるのだ」というポロック擁護論も散見されるくらいなのだ。一つの作品を仕上げるのに数ヶ月にわたる重労働を要することもあったというのだ。 ・・・てなことを伝えられると「ポロックなんて嫌いだ!」という御仁も考え直すんじゃないかな。

ところで、今回のエントリーなんだけどね、書き上げるまでにそりゃもうたんまりと時間がかかってるんだよ。


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