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ダイアン・コイル 「続・経済学者にお薦めの古典小説(+α)」(2018年9月3日)

●Diane Coyle, “More classics (and other novels) for economists”(The Enlightened Economist, September 3, 2018)


経済学者にお薦めの古典小説のリストを作成したのが2013年。そのリストをそっくりそのまま再掲した〔拙訳はこちら〕のが昨日のこと。すると早速コメント欄やツイッターを通じてリストに加えるべきお薦めの作品に関する情報が続々と寄せられた。今回はみんなから寄せられたお薦めの中からいくつか紹介しようと思う。まずは古典小説の分野から。

バルザックの『ゴリオ爺さん』(アレクサンドレ・ドレーグをはじめその他多数による推薦。トマ・ピケティも著書の中で引用している)に『純愛(ウジェニー・グランデ)』(レベッカ・スパングによる推薦。貪欲(吝嗇)、投機、金貨(お金)といった話題について)。

メアリー・シェリーの『フランケンシュタイン』(まさに! 何でリストに入れ忘れたんだろうね。スティーブン・キンセラによる推薦)

アレクサンドル・デュマの『モンテ・クリスト伯』(ローラン・フランクによる推薦)

ドストエフスキーの『罪と罰』『賭博者』、ゴーゴリの『死せる魂』、ヘミングウェイの『老人と海』(メライン・クニッベその他多数による推薦)。

ゴーゴリの『死せる魂』について(推薦者の一人である)ユハ・ターカは次のようにコメントしている。「本作はユーモア溢れる諷刺作品であり、19世紀初頭のロシアが舞台となっている。主人公が架空の戸籍(死んだ農奴の戸籍)を買い集めるというのが物語の軸。死んだ農奴の戸籍を抵当に国立銀行からお金を借り入れようというのだ」。

クニッベは他にもいくつか推薦しているが、私には初耳の作家の作品も含まれている。ヘイエルマンスの『Kamertjeszonde』(「些細な悪事」;英訳は無し?)にムルタトゥーリの『マックス・ハーフェラール』、深沢七郎の『楢山節考』、エクトール・マロの『家なき子』

マット・クランシーのお薦めは(スタインベックの)『怒りの葡萄』。もっともなチョイスだ! 学生時代に敬遠するように仕向けられてさえいなければ、リスト入りも検討していたはずの一冊だ。学校で課題図書として強制的に読まされたおかげで嫌いになっちゃったのよね。

ニック・アイルズのお薦めは(トマス・ハーディの)『日陰者ジュード』(ハーディの小説も個人的には好きじゃない。小説の登場人物には最終的に破滅せずに救われてほしいのよ)。

ゾラの作品には票が集まった。『ボヌール・デ・ダム百貨店』『金(かね)』。ゾラの作品はどれも素晴らしい。

アンソニー・トロロープの『The Way We Live Now』(「当世の生き方」) にも票が集まった。リストに入れ忘れたのは手痛いミス。

ロビー・モックリーはジェーン・オースティンの『Sanditon』(「サンディトン」)――初耳!――を熱烈に推薦している。「産業革命の初期に土地の耕作から財・サービスの生産へと経済活動の主軸が移行する様」が描かれているとのこと。

シリル・リッターのお薦めはカルロ・レーヴィの『キリストはエボリで止まった』。「貧民を搾取することで成り立つ体制、貧民を窮乏したまま、無知のままにとどめおく体制が描写されている」とのこと。

古典には括られない小説についても情報が寄せられている。「経済学者にお薦めの『古典小説』」という条件には反するが、なるほどな意見もいくつか。

例えば、フランシス・スパフォードの『Red Plenty』(「赤き国の繁栄」)を推す声については私も完全に同意。理想的な条件が揃っている場合には分権的な市場経済(自由市場における一般均衡)と中央集権的な計画経済とは同値の関係にある(同等の資源配分に落ち着く)旨が本書では指摘されているが、そのあたりの話を別にしても快著と呼ぶにふさわしい。それは(同じくスパフォードの手になる)『Golden Hill』(「黄金の丘」)にも『The Backroom Boys』(「裏方の技術者」)にも言えることだ。スパフォードは偉大な作家だ。

ジャック・クレイマーが薦めているのはマリオ・プーヅォの『ゴッドファーザー』。ゲーム理論とのつながりでお薦めとのこと。

残りも列挙しておくと・・・、

『言語都市』 by チャイナ・ミエヴィル

『ライジング・サン』 by マイケル・クライトン(国境を越えた資本の移動について)

アシモフの『ファウンデーション』シリーズ

フランク・ハーバートの『デューン』三部作

『虚栄の篝火』 by トム・ウルフ

『素敵な仕事』 by デイヴィッド・ロッジ


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