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ブラッド・デロング「いまや『第二の金ぴか時代』に生きてるってことははっきりさせておこう」(2019年6月26日)

[Bradford DeLong, “Making it real that we live in the “second gilded age”…,” Grasping Reality with Both Hands, June 26, 2019]

このところ,いろんな人たちからこんなことを聞かされる.「ポール・クルーグマンが書いたこのコラムやその同類どもが書いた同趣旨の文章は血も涙もない話だし提案も成果を挙げないだろう」
そこで,もっと具体的にかみ砕いてみたい:

アメリカの勤労者のうち,上位 0.01% が――15000人くらいの人々が――稼いだ今年の所得は,資本所得も含めて平均所得のおよそ500倍にものぼる.今日のアメリカ人がかせぐ典型的な所得(資本所得や各種手当ても含む)は,たぶん,1日300ドルほどだ.この典型的な所得と平均所得の格差は大きい:平均所得はおよそ 800ドル/日だ.所得上位 0.01% にいる 15000人は,今年,一日当たり平均で 40万ドルを受け取っている.

いったいどうすればそんなに使い切れるだろう? 想像してみよう.今朝,キミがこう決めたとする.「よし,サンフランシスコのリッツ・カールトンで 2,000平方フィートのスイートルームを借りよう.次の戦没将兵追悼記念日まで,今週いっぱい滞在するぞ.」 そして,思った通りに滞在したとする.すると,7泊分の費用がしめて 6,000ドルになる.お金が貯まらないようにするには,39万4,000ドルを今日中に使い切らないといけない:つまり,昼も夜も関係なく 1時間に 16,667ドル使わないと,どんどんお金が貯まってしまう.

こういう 15,000人の超お金持ちの支出について考えるには,こういう見方をしてみるといい――彼らは,こうして支出することを通して,なんであれとにかく自分たちを喜ばせたり自分たちの目的を推し進めたりすることに献身する人たち 750万人を雇用している.この 750万人のかなりの割合は管理職が占めている.彼らは勤務先の組織の目的追求に奉仕するべく制約を受けている部分もある一方で,そうした目的を自分の好きな風に解釈して形成する自由も持ち合わせている.ざっと当て推量すると,この制約を受けていない上司連中は3人以上の部下を抱えているだろう:すると,ぼくらのうち 2,000万人は彼らから直接・間接にお金をもらって,この上位 0.01% の人々がそれぞれに考えている個々別々の目的を推し進めることに献身していることになる.これって健全な社会になりそうだろうか?

さらに,0.01% 以外の上位 0.1% 層もいる――こちらは 15,000人じゃなくて 13万5,000人いて,上位 0.01 に比べて平均で 9分の1 の金額とはいえ,普通の人よりはお金をたんまり稼いでいる――彼らの場合,1日に 40万ドルじゃなく 4万5,000ドルを使い切るか再投資するかしないとどんどんお金が貯まっていく.それでも,0.1% 層全体としては 0.01% と同じだけの経済的な重みをもっている.つまり,さらに 2,000万人が彼らのために働いている:この人たちは,上位 0.1% から直接・間接にお金をもらって,この上位 0.1% 層それぞれの個々別々な目的を推し進めるために献身していることになる.

ポール・クルーグマン「富裕層過剰疾患について」:「2011年の過ちを繰り返さないためにはどうすればいいんだろう.(…)ここで真の問題となっているのは,上位 0.1% 層あるいは 0.01% 層が果たしている役割だ――この層の人たちは,映画『ウォール街』で笑いのネタにされたので有名な「ウォール街で働く年収 40万ドルのカタブツ」ではなく,本当に裕福な人たちだ.本当にごく少数でありながら,彼らは政策に巨大な影響を及ぼしている.(…)〔その影響のふるい方を4とおりにわけると〕直球の汚職(…),ゆるい汚職(…),選挙資金の提供(…),議題設定がある.ここでは[議題設定の話に]集中したい(…).ぼくのような人間にとって,この事例は意見を先鋭化させるきっかけになった.極端な富によって本当にぼくらの政治制度が現実問題への対応能力を悪化させられてしまうのを見せつけられた事例だった.(…)2010年~2011年に,世間の考えと政策の優先事項がとてつもない変化を起こした.2008年金融危機の後遺症で生じていた巨大な苦しみの軽減をそれまで優先させていたのが,存在するとされた債務危機のリスクを回避する対策に優先事項が切り替わったんだ.(…)


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