ポール・クルーグマン「政策担当者は正しいことをしたか」(2017年9月22日)

Paul Krugman, Did policymakers get it right? (Video VOX, 22 September 2017)

政策担当者はどの部分で正しい政策を取ったか?この動画では、ポール・クルーグマンが中央銀行は正しい政策を取ったが、間違ったタイミングで緊縮政策が行われたと説明。この動画は2017年9月22日に開催された「金融危機から10年」と題されたカンファレンスで録画されたものです。 [1]訳注:本訳はクルーグマンが実際に話しているものをもとにしており、動画の英語字幕とは必ずしも一致しません。   

Vox:金融危機から10年、振り返ってみて、政策担当者はどこで正しかったと思いますか?

クルーグマン:
全般的に中央銀行は正しいことをしました。確かにFRB〔米国連邦準備制度〕もイングランド銀行も「通貨の価値を下げるな!」とか何とか言ったひとびとに立ち向かったし、それは金融緩和的でそうする必要があったときでした。

ECB〔欧州中央銀行〕は、時期尚早の金融引締めやら何やらで最初の数年をダメにしてしまいましたが、ドラギ総裁の『何が何でも』という言葉は基本的にユーロ圏を救いました、素晴らしいといえる話です。なので、全般的には中央銀行は正しいことをやってきました。巨大なデフレの下降気流を前に金融引締めをするという1930年代の先人たちと同じ間違いをしなかったのです。

財政政策、というか緊縮政策は、どちらにせよ、とても間違ったときに実施されました。しかし我々が緊縮政策と現在呼んでいるものは、1930年代に不況を目の前に実際には国々が財政を健全化しようとして起こしたものとは違います。なので、財政政策は、取られるはずだった政策と比較すると、悪い政策だったけれども、80年前に取ったかもしれない、そして取られたであろう政策と比較すれば、それなりのそこそこのものでした。

私が思うに、一般的に銀行救済について人々は単に引っ込んで「そうね、崩壊するのはたぶんそれが崩壊するに値するからだよね」と言って金融制度を崩壊するに任せたわけではありません。なので、いくつか良いこともありました。このことについて考える枠組みはとっくにあって、それは他の事例では大成功を収めていたものだったのに、我々はそれを使わなかったのです。

私の見解では、私を最もうろたえさせたものは、この金融危機は何をすればいいかわからないというものではなかったということです。何をするべきかとてもよくわかっていたけれども、権力のある立場の誰ひとりとしてそれを信じようとしなかったのです。

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1 訳注:本訳はクルーグマンが実際に話しているものをもとにしており、動画の英語字幕とは必ずしも一致しません。
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