マーク・ソーマ 「『労働者はいま何処?』」 (2015年11月17日)

Mark Thoma, ‘Where Have all the Workers Gone?’, (Economist’s View, November 17, 2015)


何故かくも多くの労働者が労働人口の一員である事を止めてしまったのだろうか?:

労働者はいま何処?, : ブルッキングス研究所イザベルV. ソーヒル (Isabel V. Sawhill, Brookings):  労働の主要な担い手たる年齢層に属する、特に男性の労働者の雇用率は、ここ数十年の間に急落した。さらに 『大不況 (the Great Recession)』 がこの事態を悪化させた。最近みられた失業率の低下は、こういった労働者の一定部分を再び活動的労働力へと連れ戻したが、長期的視点からいえば現状は依然として見る者を落胆させるものである。試みに合衆国をその他の先進国と比較すれば、労働適齢期にある成人が目下担っている労働が、欧州各国の大半で成人が担っているそれに満たない事は、火を見るよりも明らかだ。

我が国に一体何が起きているのか? 私の同僚のゲイリー・バートレス (Gary Burtless) も述べているが、恐らくこれには3つの事態の進展が関与している。第一に、高卒男性に対する実質賃金が1980年以来28%も低下した事が挙げられるが、これは労働の魅力を減じつつも、その一方で、雇用者が求めているのは高度な技能を備えた人材である旨をそれとなく知らせるものでもある。第二に、就業不能登録者数 [訳注: disability rolls] が増加してきた事が挙げられる (その主因となっているのは、筋肉・骨格に関する問題、およびメンタルヘルス問題である)。就業不能給付の受領者となるまでには長く複雑な手続きが在るが、その手当は低技能労働者が自ら働く事で得られる収入と比べれば十分に魅力的なものであって、労働人口への再加入とは反対向きのインセンティブとなっている。第三に、今や女性が労働市場の半分を構成するようになって、男性を労働に向かわせる圧力が弱まってきた事が挙げられる。

目下のところ、近年みられた雇用の急激な減少のうち、どの程度が需要薄と関連し、どの程度がこういった長期的要素と関連しているのかを見分けるのは困難であると言わざるを得ない。…

 

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