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マーク・ソーマ 「サマータイム(の期間延長)は省エネにつながるか?」(2007年3月11日)

●Mark Thoma, “Does Relabeling the Hours of the Day Save Energy?”(Economist’s View, March 11, 2007)


ティム・ハーブ(Tim Haab)がEnvironmental Economicsブログでサマータイムに関する話題を取り上げている。

Are Daylight Savings Time Energy Savings a Myth?” by Tim Haab:

アメリカでは今年(2007年)からサマータイムの期間が(約1ヶ月間ほど)延長されることになる。省エネが狙いであり、サマータイムの期間延長に伴って電力消費量が1%ほど削減される見込みという触れ込みだ。しかしながら、カリフォルニア大学バークレー校に籍を置く研究チームの訴え(最新の研究結果)1によるとそのような触れ込みは間違いのようだ。論文のアブストラクト(要旨)を以下に引用しておこう。

「エネルギー価格の高騰や環境(自然環境)への配慮が主たる動因となって省エネのためにサマータイムの期間を延長しようと検討する国の数が増えている。・・・(略)・・・サマータイムの効果に関する先行研究は実証的な証拠ではなくシミュレーションモデル(外挿法による予測)に依拠している場合が多く、本稿ではそのような先行研究の結果に異議を申し立てる。本稿では(先行研究の多くとは異なり)擬似実験の機会――2000年のシドニーオリンピックの開催に合わせてオーストラリアの一部の州だけでサマータイムの期間が延長された(サマータイムの開始時期が他の州よりも2ヶ月だけ早められた)ケース――を利用してサマータイムの省エネ効果を検証する。本稿では30分ごとの電力消費量や電気料金に関するパネルデータや気象状況に関する詳細なデータを利用しているが、(2000年のシドニーオリンピック開催に伴うオーストラリアでの)サマータイムの期間延長は電力需要を抑制するには至らなかったとの結果が見出された。それに加えて本稿では先行研究の検証にも乗り出している。先行研究の中でも一番精緻なシミュレーションモデルにオーストラリアのデータを当てはめてみたところ、件のシミュレーションモデルではサマータイムの期間延長に備わる省エネ効果(電力消費量を抑制する効果)が過大に見積もられる傾向にあることが判明した。本稿で得られた一連の結果に従うと、アメリカで近々実施される予定になっているサマータイムの期間延長は省エネにはつながらない可能性があることが示唆されることになる。」

一つだけはっきりさせておくと、上で言及されている研究では導入済みのサマータイムに若干の修正を加える(例えば、サマータイムの開始時期を現状よりも3週間ほど早める)結果として省エネにつながるかどうかが問題にされているのであって、サマータイムそれ自体の省エネ効果(サマータイムを導入する場合としない場合とで電力消費量に違いが出るかどうか)が問題とされているわけではない。ともあれ、ロサンゼルス・タイムズ紙に寄せられた以下の投書2が問題の核心をうまく突いているだろう。

サマータイムは多くの人々――私もそのうちの一人です――のムード(心持ち)には影響を与えるでしょうが、それとは別にどんなふうにして電力の節約につながると言うんでしょうか? 夜間の電力使用が減る代わりに早朝の電力使用が増えるとしたら電力の節約にはなりませんよね。時間帯に限らず(日が暮れた後だろうが日が明ける前だろうが)闇は闇なんです。— ロバート・D・ハーツフェルド(カリフォルニア州バンナイズ在住)

夏の半ばともなると話も違ってくることだろう。多くの人が目覚める頃には外も明るくて気温も高いだろうから。

  1. 訳注;学術誌に掲載されたバージョンはこちら。 []
  2. 訳注;リンク切れ。 []

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