マーク・ソーマ 「4人の『ギフト専門家』が語り合う『クリスマスギフト政策』の行方」(2010年12月25日)

●Mark Thoma, ““Once Upon a Professor: The Christmas Debate Story””(Economist’s View, December 25, 2010)


ウィリアム・イースタリー(William Easterly)がとある「昔話」を紹介している。

Once upon a Professor: the Christmas Debate Story” by William Easterly:

昔々のお話です。4人の教授が「クリスマスギフト政策」の行方を語り合うために、一堂に会しました。このような機会が持たれたことは、全世界にとって実にこの上ない幸運だったと言えるでしょう。なぜなら、その4人の教授というのは、いずれも世界を代表する「ギフト専門家」としてその名を轟(とどろ)かせていたからです。

いの一番に口を開いたのは、A教授でした。「みんながどんなギフトを欲しがっているかは、既にわかっています。しかしながら、ギフトを送り届けるためのインフラが整っていません。そこで提案したいと思います。各国の政府は、IFCD(International Fund for Christmas and Development)への拠出金をもっと大幅に増やすべきです。そうすれば、ギフトを送り届けるために必要なありとあらゆる補完的なインフラの整備に向けた包括的な計画の実行に弾みがつき、ゆくゆくはみんなに望み通りのギフトが行き渡ることになるでしょう」。

次に口を開いたのは、B教授でした。「子供たちが家庭の中で身の安全を確保できているかどうか心配でなりません。G8が早急に介入して、身の安全が脅かされている子供たちを一刻も早く保護すべきです。クリスマスギフトの件については、子供たちの身の安全を確保した後に一人ひとりに何が欲しいかを直接聞いて回って、希望の品をあげればいいでしょう」。

次に口を開いたのは、C教授でした。「ランダム化対照実験を試してみるべきだと思います。代表的なクリスマスギフト三品をランダムに選ばれた一群のグループに分け与え、何も与えられないでいるコントロール・グループと比較してどういう違いが見られるか確認してみるべきです。その結果は、12月25日までには明らかにならないでしょう。それゆえ、実験の結果が査読付きの学術誌に掲載されるまでは、クリスマスを先延ばしすべきでしょう」。

次に口を開いたのは、D教授でした。「誰かにあげるクリスマスギフトがその誰かが本当に欲しいと思っている品であるわけなんてないのです。他人にギフトをあげるために費やされたお金は、無駄でしかないのです。クリスマスギフトは、自分で自分のために買うべきなのです」。

4人の教授たちの熱を帯びた言い争いは、いつまでも終わる気配が見えません。冬の夜が一段と深まり、暖炉の炎が今にも消えそうです。

こんな熱い議論が交わされているとは露知らず、誰も彼もが街に繰り出して最愛の相手のためにクリスマスギフトを選んでいます。「あの人は何が欲しいんだろう」と親愛の情を心に抱いて当て推量に励んでいます。

誰もが幸せでした。・・・あの4人の教授たちは、もしかしたらそうじゃなかったかもしれません。

———————————

メリー・クリスマス!

Total
0
Shares

コメントを残す

Related Posts