アレックス・タバロック「紙ストローなんてだいきらいだ!」(2022年5月7日)

[Alex Tabarrok, “I Hate Paper Straws!” Marginal Revolution, May 7, 2022]

James Pethokoukis のサブスタック Faster, Please! でインタビューを受けた.そのなかから,Q&A をひとつ:

JP: アメリカの政治論議は,だいたい,将来のイノベーションへの長期的な投資よりも,懲罰への関心が勝ってるよね.この問題をつくりだしてるインセンティブって,どんなものだろう? そして,どうすれば解決できると思う?

タバロック: そのインセンティブ問題で大きな割合を占めてるのは,「未来の人たちには〔現時点での〕発言権がないってことだ.未来の住人たちに発言権がないから,みんなして建物の建設を邪魔してる.そのおかげで,いま住宅を所有してる人たちの〔供給が増えると手持ちの住宅・土地価格が下がってしまうという〕恐怖はなだめられるけれど,未来の住人たちが入居してくるのを妨害してしまう.未来の患者たちには発言権がないから,みんなして医薬品価格を規制してる.これによって,将来の新薬開発が犠牲になってる――などなど.もちろん,これは昔からずっと続いてるんだけど,でも,解決困難なインセンティブ問題に対して,文化は解決法になりうる.かつては,アメリカの未来指向でイノベーションを好み科学に前向きな文化によって,ぼくらは未来を守る傾向がいまよりも強かった.

もし,両方の陣営が自分たちの文化方面での目論見をいったん脇に置いて,意見が一致してる部分に関心を集中すれば,解決できる問題はたくさん増えるんじゃないかな.たとえば,増税・減税同額の炭素税とアメリカ人の創意工夫を組み合わせれば,気候変動問題を解決できるんじゃないかと思う.原子力発電・地熱発電・水力発電――どれをとっても,たんにクリーンなエネルギーなだけじゃなくって,よりすぐれたエネルギーだ.残念なことに,イノベーションに関心を集中させるかわりになにをやってるかと言えば,紙ストローだの,節水シャワーだのといった,山盛りのたわごとだよ.紙ストローも,節水シャワーも,だいっきらいだ! 環境保護運動のなかには,環境問題を解決することよりも,消費主義・個人主義・アメリカを罰することに入れあげてる層がいる.この人らは,なにかのイノベーション案を見ると,「ズルじゃないか」と思うんだよ.彼らの活動が目指してるのは,懲罰なんだ.

これと対照的に,ぼくがのぞんでるのは,誰もがもっと水を使えるようになり,もっとエネルギーを使えるようになり,当然,もっとプラスチックストローを使えるようになりつつ,同時に,環境をよりよくすることだ.それがアメリカ式のやり方だよ.

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