ノア・スミス「アメリカでインフレが再燃しつつある」(2024年4月30日)

どうやらインフレ率が再加速しつつあるようだ.

さて,今回の小ネタ選集は,ちょっと憂鬱なマクロ経済ニュースで締めくくろう:どうやらインフレ率が再加速しつつあるようだ.

個人消費支出 (PCE) インフレ率(パーセンテージ変化,年率) / Source: Jason Furman

もっとデータを見たい人は,ジェイソン・ファーマンの更新スレッドを覗いてみるといい.インフレ率の数字は,おおよそ全体的に上がってきている.

なにが起きてるんだろう? フーシ派民兵による紅海航行の混乱も,ひとつの要因かもしれない.ただ,サンフランシスコ連銀の分析によると,3月のインフレの多くは需要側の要因に起因しているそうだ:

青が需要側要因のインフレ率,緑が供給側要因のインフレ率,黄色はどちらとも判別できない部分 / Source: SF Fed

利上げがあって,しかもパンデミック期の給付による貯金がおおよそ使い切られた状況で〔参考〕,需要側に起因するインフレの原因として残る候補は,連邦政府の赤字支出だ――あるいは,赤字支出を増やすべきって提唱してる人たちの呼び方でいくと,「大胆財政(ビッグ・フィスカル)」かな.

インフレ率が上がったことが世間の人たちの意見にまで浸透していくには,一般に,数ヶ月かかる.だから,今回のインフレ上昇も,11月〔大統領選〕でバイデンの足を引っ張る時期に人々の認識にのぼることはないかもしれない.ただ,学資ローン免除みたいな大型の支出項目をインフレ率の高まった時期にやろうというなら,現政権は危険なゲームに興じることになるね.

[Noah Smith, “Inflation is rising again in the U.S.,” Noahpinion, April 30, 2024]
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