Uber は単に速くて便利なだけじゃない.Uber は,自動車の資本コストを大勢の人たちに薄く広く分散させる.そうすることで,効率性が向上している.典型的な一般向け飛行機は,自動車の価格の10倍かそれ以上にのぼるから,「空の Uber」を支持する根拠は強い.それどころか,ライト兄弟が飛行機で飛んでまもなく,非公式の乗り合い用掲示板と口コミによって,飛行機の乗り合いでコストを割り勘にしたい乗客たちとパイロットがむすばれていた.
Flytenow は,アプリをつくって,「コスト」を割り勘にしたい「乗客たち」とパイロットたちをもっとかんたんにつなげられるようにした(カッコでくくってるワケはこのあとわかるよ).でも,この試みは連邦航空局 (FAA) によってつぶされた.Flytenow の主張によれば,じぶんたちはたんに掲示板システムを現代版に新しくしてるだけなのだが,FAA の方では,Flytenow が規制を回避しようと試みているのではないかと懸念しているのだという.1958年の連邦航空法では,操縦に従事して対価を得るパイロットはs表行免許の取得を求められている.Flytenow は,廃業になった.
ジャレド・メイヤーが創業者たちにインタビューしている:
ジャレド・メイヤーが創業者たち:(…)ぼくが理解したかぎりでは,掲示板や電話みたいな昔ながらの道具を使って飛行機便(とコスト)を共有する人たちを見つけるのは完全に合法ですよね.オンラインのピア・ツー・ピアでやりとりしてこのプロセスをもっと効率的で包括的にするのを,どうして FAA は許可しないんでしょう?
アラン・ギチャード: まさにそのとおりですね.パイロットたちはこれまでずっと飛行機便の共有を許されていました.乗客とパイロットが同じ目的を共有していればよかったんです.Flytenow みたいなオンラインの掲示板でも,その同じ目的があるのは明らかです.FAA が懸念しているのは,オンラインのやりとりを許可すると,彼らの言う「友人・知人」を越えた範囲にまで共有が広まるのではないか,ということなんです.
たとえば,FAA の説明では,ほんの数名の友人しかいない人がフェイスブックで飛行機の乗り合いを募っても許可できるけれども,その人に「数千人」の友人がいると,その同じ飛行機便がデルタ航空やアメリカン・エアラインに様変わりするんだそうです.
空の Uber が実現すれば,私的な飛行機便を増やし,航空会社に圧力をもたらすだろう.また,安全問題もいくらか生まれるだろう.いまのところ,富豪だけしか,私用の小さな飛行機でじぶんの生命を日常的にリスクにさらしていない.利用できる人がもっと増えるのはのぞましいだろうか? 議論の余地はあるけれど,「これくらいだったら乗客を運ぶ小さな飛行機が増えてほしい」ってぼくらが思う安全レベルは確かにある.でも,これって卵とニワトリじゃないだろうか? 安全性は,ただ生じるわけじゃない.安全性は,部分的には投資と需要から生じる内生的な帰結だ.投資を制限していて,どうすれば空飛ぶ自動車ができるだろう?