Alex Tabarrok “The Royal Economic Society Prize” Marginal Revolution, May 4, 2018
2017年の王立経済学会掲載論文の最優秀賞にバート・ウォレン・アンダーソン,ノエル・ジョンソン,マーク・コヤマの「Jewish Persecutions and Weather Shocks 1100-1800(ユダヤ迫害と天候不良 1100年~1800年)」(ungated版はこちら)が選ばれた。ノエルとマークはジョージ・メイソン大学(GMU)の同僚だし,ロバートもGMUの卒業生だ。論文の要旨は以下のとおり。
前近代から近代にかけてのヨーロッパで少数民族の迫害を引き起こしたのはいかなる要素だっただろうか。1100年から1800年にかけてのヨーロッパの936都市におけるユダヤ人迫害1366例からなるパネルデータを用い,我々は気温の低い作物成長期の後では迫害が起きる可能性が高まるか検定を行った。過去5年間における成長期の気温が1標準偏差下がると迫害が起きる可能性は(基準値である2%に対して)1~1.5%ポイント上昇する。この効果は土地が貧しく貧弱な国家で最も大きくなる。迫害の長期的な減少は,部分的には市場統合の拡大と国家の能力の増大によるものとできる。
王立経済学会の判断は正しい。これは理論と原データを巧みに組み合わせた素晴らしい論文だ。
今回の賞によってまた一つGMU経済学部が一流である証拠が増えた。