VOX: 2014年から2019年まで,キャンベルは全米 1,600件以上の BLM 抗議運動を追跡した.その大半は,大都市で起きた.抗議に参加した人々は,35万人近い.追跡してキャンベルが得た主な発見は,これだ:国勢調査の対象地域のうち,BLM 抗議運動が起きたところでは,警官の威力使用による死者が 15~20パーセント減少した.警官による殺人件数がおよそ 300件減っている.
また,キャンベルの研究によると,BLM 抗議運動が起きた地域では,こうした抗議運動と殺人件数の 10% 増加とが相関している.これはつまり,2014年から2019年にかけて,かりに抗議が起こらなかった場合にこれまでの傾向がそのまま続いていたと仮定して予想される件数に比べて,1,000件から 6,000件ほど殺人事件が増えているということだ.キャンベルの研究には,昨年夏の歴史的な抗議運動のうねりがもたらした影響は含まれていない.関連するデータがまだ揃っていないためだ.
(…)殺人発生率の増加には,これ以外にも説明が考えられる.警察当局がみずからすすんで地域住民とのやりとりを減らしていて,その結果として,犯罪活動をのさばらせているのかもしれない.警察が地域とのやりとりを減らしているかどうか観察するには,この期間に検挙された窃盗事件の割合が減少しているかどうか確かめる手がある.つまり,警察が――士気が下がったからであれ,自分たちの行動を市民が吟味することに憤慨したからであれ――通報のあったレベルの低い犯罪の解決に以前ほど熱心に取り組まなくなっているのか,調べてみればいい.検挙された窃盗事件の割合は,5.5パーセント減少しているのを,キャンベルは見出している.これは,抗議運動が始まってからすぐに警察がみずからの取り組みを減らしていることと整合する.
記事はこの論文にもとづいている.ここで言われている説明は,ボルティモアでフレディ・グレイの事件をうけた抗議運動と暴動が起こったあとの出来事と整合している.つまり,逮捕件数は減って,殺人は増えた.
第2段落で10% increaseが10%減少と誤訳されています。修正が必要です。