Tyler Cowen, “Why is there superior economic performance under Democratic Presidents?“, Marginal Revolution, November 30, 2013.
ジェームズ・ハミルトンがこのトピックに関するアラン・ブラインダーとマーク・ワトソンの新しい有益な論文(pdf)の情報を与えてくれている。
民主党は共和党政権時代との大きな成長率の差を自らの優れたマクロ経済政策に起因すると主張したがるであろうが、データからはその主張を証明する証拠はない。(中略)むしろ、いくつかのラッキーな要因に注目せざるをえないようだ。具体的に挙げると、民主党の大統領たちは総じて共和党時代に比べて原油価格の変動も小さく、より良好な(稼働率で調整した)生産性ショックの恩恵を受け、そして消費者は(ミシガンICEによる尺度で)より楽観的な予想を持っていた。
もしかしたら「楽観的予想の差」のいくらかは政策の差異に帰することができるかもしれない。もっとも、著者らは「民主党政権が選出された後の楽観の増加を表す直接的な指標を見つけることは難しい」と指摘しているが。いずれにせよ、この論文は民主党政権下の良好な経済パフォーマンスに関するいくつかの世間知に修正を迫る有益な情報である。また、議会の議席構成もこのようなパフォーマンスを説明できないことも付け加えておこう。
マクロ経済の問題はミクロ経済の問題よりも重要であると言われる(私はこのような区別を支持しないのだが、よく聞かれる)が、さてはて、結論はそれぞれが好きな様に考えてみて欲しい。
ブラインダーとワトソンは同時に保守派がよく主張する神話のウソも暴いている。
要約すると、第一次レーガン政権の初期に関するグリーンブック予測を例外とすれば、(将来の経済成長をもたらすような)新政権にとって好ましい初期条件を、共和党が民主党から受け継いだよりも民主党が共和党から受け継いだと信じる理由はないことを予測は示している。
次も興味深い。
しかしながらFedの政策金利は名目および実質双方においてわずかな傾向が見られる。民主党の大統領のもとでは上昇基調で、共和党の大統領のもとでは下降基調が見られるのである。このことから民主党政権ではFedはおもに引き締め気味であり、共和党政権では緩和傾向であると読み取れる。もちろん実証結果からFedが民主党に有利に「政策の振り付け」を行っていることを導けるわけではない。むしろ民主党のもとでは(インフレ率の上昇とともに)経済成長率が高まり、共和党のものでは(インフレ率の下落とともに)経済成長率が低まるなら当然予想されることである。
なお、統計的に有意な差ではないものの、イギリスではトータルでの経済パフォーマンスは保守党のほうが優れている。