American Economic Journal: Macroeconomics に掲載されてるこの論文は,Bryan Caplan の議論にいくつかの点で通じるものがありそうだ:
大卒の収入プレミアムの増加が長らく高水準で存続しているにもかかわらず,大学教育への投資は相変わらず低い.この一見すると不可解なパズルは,大学進学にともなうリスクを――とくに中退になりうるリスクを――考慮すると理解できる.大学を卒業までやり遂げられる確率がほどほどに高い学生たちはすでに進学するようになっている一方で,進学しない人々に目を向けると,卒業までやり遂げられる確率が低い人々のあいだでは大卒プレミアムの影響がにぶい.大学進学時の学力面の準備が改善されていないなかで,我々の計量的な研究結果からは,技能に偏ったテクノロジーの変化の傾向がこのまま長期的に続いても,大学進学率を高めるのではなく,主に収入格差を広めると予想されうる.
著者は Kartik Athreya と Janice Eberly.この議論からは,現実の才能の分布に断絶があることが含意される.これは,拙著『大格差』でとりあげたいくつかの主題と共鳴するものがある.