Tyler Cowen “Why is deflation continuing in Europe and Japan?“(Marginal Revolution, January 22, 2015)
次に引用するのは日本からのニュースだ。
ブルームバーグ・ニュースが行ったエコノミストへの調査によれば、日本銀行が2パーセントのインフレ目標を設定して4年後、物価は依然としてそれに満たない可能性がある。
16個の推計の中央値が示すところでは、消費者物価は2017年3月期の会計年度において平均1.4パーセント上昇し、生鮮食品と消費税による押上げを除けばインフレ目標が設定されてから2017年3月期まで2パーセントに達する年はない。黒田東彦総裁が2013年4月にその記録に残る刺激策を表明した際、彼は約2年以内に目標を達成したいと考えていた。
流動性の罠とか、信頼性とかそんなようなものを議論する気は(今日のところは)ない。明らかに日銀は少なくともある程度はインフレに影響を与えることができるし、イングランド銀行がインフレを5%以上に持っていったのがほんの数年前だということも思い起こしてほしい。欧州中央銀行は実際もっとずっと多くのことが出来た。でも僕は考えは次の通りだ。すなわち、
1.ほとんどの国の労働者は割の良い実質賃金額で現に職に就いており、世界の中でこれまで富裕国においては労働力の価格切り下げが起こってきただけに、今日この賃金額を再交渉することはできない。
2.より高率の物価上昇はこの賃金額を切り下げることになり、したがって高率の物価上昇は人気がない。この時有権者たちは金融経済を十分に理解しているわけではないけれど、「インフレによって金が奪われる」という漠然とした感覚を持っている。
3.ヨーロッパでも日本でも、もはや2パーセントのインフレを容易には達成できないとこまできてしまった。中央銀行は疑いの目で見られている。2パーセントを達成するには、中央銀行は4%を狙わなければならず、したがって4パーセント目標を表明することになる。これをお気に召す有権者はほとんどおらず、さらには4パーセント・インフレへの信頼性ある試みは、実際に3%あるいはそれ以上のインフレをもたらすかもしれない。信頼のない中央銀行は実のところそれでも自国の通貨を毀損することはできるものの、達成可能な目標はなだらかに変化する目盛ではなく、でこぼこの段々となってしまう。ユーロ圏においては、物価目標という唯一の責務を鑑みれば、高すぎるインフレ目標はおそらく違法でもある。
4.したがって、結局のところは2パーセント目標を表明するもそれを達成できない中央銀行という暗礁に乗り上げることとなってしまう。
日本については、先に引用した記事の中にヒントがある。
日銀のバランスシートは経済規模との比で見れば他国のそれよりも小さいとした黒田総裁の働きかけは、過去20年で最大規模の銀行貸し出しの飛躍を促し、全くのデフレは終わりを見たものの、2パーセントのCPI目標を確実にするに十分な大きさの賃上げを引き起こすという課題が残っている。
「賃金が持続的に上昇する環境づくりを行う環境づくりが必要だ」と木下氏 [1]訳注1;野村ホールディングスのチーフエコノミスト は述べた。
このことは、なぜヨーロッパのQEは衝撃と畏怖とならなければならないのか、なぜそうならないのか、そして何もやらないよりかはましではあるものの、なぜ結局そこまで大した役には立たないのかということを説明する助けにもなる。就業している中間層市民の実質賃金の下落を加速させたことを自慢する政府はほとんどない。限界点にいる失業者 [2]訳注2;実質賃金が1単位でも下がれば雇用される点にいる失業者 からある程度の追加票を得ることが、この点に関する得票計算を揺るがすことはない。
政策決定者やジャーナリストを非難するのはやめよう。私は、インフレ率の上昇は実質賃金を損なうのではなく上昇させるのだという考えを促す経済学者を非難する。こうした考えは、政策決定者ひいては有権者たちに長い長い待ちぼうけを食らわすことになるからだ。
デフレは貨幣現象と国会で言い切ったあべさん、2年で2%達成できなければ辞任するといった岩田さん、なぜ貨幣現象なのに企業の賃上げに対する期待発言を繰り返すのでしょう?貨幣現象ならベースマネー増やせば自動的になるんじゃないの?
2%達成できないのは原油安と消費増税の反動?外部環境の変化や3%増税で効果が消える金融緩和なら緩和より増税やめたほうが効果的だったってこと?あ、それはリフレ派さんんが不要といってる財政政策か(^^)