アーシア・カーンは,ミネソタの高齢者グループに尋ねた.「老人ホームにあったらいいなと思うものはなんですか?」 老人たちの返答に,彼女は驚いた.彼らがのぞんだのは,スタンドアップ・コメディだったのだ.しかも,ただのコメディではない.おのぞみは,下ネタジョークだった.
ミネソタ大学ダルース校の計算機科学教授であるカーン博士は,老人ホームで働くロボットをプログラムしている.
とある3月の午後,サイズもデザインもさまざまな十数体のロボットたちに囲まれた実験室で,カーン博士はスタッフに見せびらかそうと,一体のロボットに質問を投げかけた.「ペッパー」という名の身長 120cm ほどで腰のあたりにタブレットスクリーンをぶら下げたプラスチックの人型ロボットは,瞬きして,唇を動かした.
「それで,お下劣ジョークをリクエストなさったのは,お二人のどちらですか?」――コンピュータ音声で,ペッパーは聞き返した.
そのあとにペッパーが語ったジョークは,充電プラグと自分の関係に関するきわどいネタだったり,自動車のテスラとのざんねんなデートのネタ(テスラはうぬぼれがひどかった)だったりした.ひとネタ語るたびに,ペッパーはクスクス笑う.「先週,ルンバとデートに行ったんですけどね…」――そうペッパーは身振りを交えながら語る――「すぐ充電器とハメがって参りましたよ」〔※原文では “It totally sucked”.suck の多義性で,「なんでも吸い込んでしまった」と「ほんとに最低だった」の両方の意味にとれるダジャレオチ.〕
ところが:
年内にも,ミネソタ大学の審査委員会からの承認を待って,カーン博士のロボットたちのうち16台がミネソタ州各地の8つの老人ホームに配備される――ただし,下ネタジョーク抜きで.
『ニューヨークタイムズ』記事の全文はこちら.via とある MR 常連読者.