タイラー・コーエン 「あのアーティストが最高傑作を仕上げたのはいつ頃?」(2005年10月5日)

●Tyler Cowen, “When do creators do their best work?”(Marginal Revolution, October 5, 2005)


ランダル・ジャレル(Randall Jarrell)も、ウォレス・スティーヴンズ(Wallace Stevens)について同様の評価を下している。曰く、「スティーヴンズは、アメリカ出身の詩人として、他に類を見ない珍事をやってのけている。アメリカ出身という限定を外して、歴史上のすべての詩人に範囲を広げてみても、前例がほとんど見つからないような珍事だ。長い人生(75年の生涯)の最後の1、2年の間(亡くなる1~2年前)に、最高傑作にして、これまでにない新しさを備えた、何とも奇妙な作品(詩)をいくつか書き上げているのだ」。

それとは対照的に、

ジャン=リュック・ゴダールは、50年以上にわたる監督人生を通じて、数多くの映像作品を残しているが、評論家の間では、1960年に公開された『Breathless』(邦題『勝手にしやがれ』)がゴダールの作品の中で一番の重要作(最高傑作)という点で幅広い意見の一致が見られている。『Breathless』は、ゴダールが30歳の時に監督した作品であり、長編映画としてはデビュー作にあたる。

どちらの文章も、デビッド・ガレンソン(David W. Galenson)の『Old Masters and Young Geniuses: The Two Life Cycles of Artistic Creativity』からの引用だ。本書と関係の深いワーキングペーパーはこちら。ガレンソンは、興味深い論文を他にもたくさん書いている。詳しくは、こちらの一覧を参照のこと。

私からの質問:50歳を過ぎてから極めて重要な業績を残した経済学者って誰かいる? 仮に「いる」として、それは最高傑作と言えるだろうか? 仮に「いない」というのであれば、「40歳を過ぎてから~」に質問を変えると、どうなるだろうか? コメント欄を開けておくので、思い付く人物を書き込んでもらえたら幸いだ。答えるのは簡単じゃないとは思うけどね。

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