タイラー・コーエン 「国ごとの億万長者の違い ~中国とロシアを比べてみると・・・~」(2012年6月24日)

●Tyler Cowen, “China and Russia billionaire facts of the day”(Marginal Revolution, June 24, 2012)


・・・(略)・・・中国で過去10年の間に長者番付一位の座に上り詰めた富豪のうち、2人は汚職絡みの罪で投獄されている。いや、事実無根の罪で捕まったって言いたいわけじゃない。中国では、自由気ままにビジネスができる一方で、ビジネスで稼いだ資産の額が100億ドルに近づくと当局の目が途端に厳しくなると言いたいのだ。「お金持ちになることは、素晴らしいことだ」とは鄧小平の言葉だが、時代に合わせて少し修正する必要がある。「お金持ちになり過ぎないことは、素晴らしいことだ」って。中国政府は、庶民の間でくすぶるお金持ちへの反感を抑えるのも狙って、お金持ち連中がしのぎ合うようにけしかけているようなのだ。

その一方で、ロシアはどうかというと、100人の億万長者(ビリオネア)がGDPの20%近くに相当する富を動かしている。億万長者の数で言えばロシアも中国も同じくらいで、ロシアのGDPは中国のGDPの4分の1だが、ロシアで100人の億万長者が動かしている富の額は、中国で100人の億万長者が動かしている富の額の倍なのだ。目を引くことは他にもある。ロシアでは、中流層だけではなく、百万長者(ミリオネア)層も縮小しているのだ。ボストン・コンサルティング・グループの調査によると、百万長者の数で言うと、中国は世界第三位だが、ロシアは上位15位にも入っていないのだ。

ロシアでは、ビジネスに対する国家の影響力が高まっている。そのことは、100人の億万長者のうち69人がモスクワに住んでいるという事実にも表れている。億万長者がこんなにも集まっている都市というのは、世界中どこを探してもない。「パトロン」に守られているおかげもあって、大金持ちの顔ぶれにもあまり変化がない。長者番付上位10人のうち8人は、2006年からずっとランク入りし続けている。億万長者たちの富の80%以上は、不動産、建設、石油、天然ガスといった「非生産的」な産業――政界とつながりを持つおかげで、お金が無尽蔵に湧いてくる産業――が源泉となっている。80%以上という数値は驚異的だ。開発途上国でこの数値が35%を超える国はない。GDPの規模がロシアと同じくらいの資源大国であるブラジルでも、億万長者たちの富のうちどのくらいの割合が「非生産的」な産業によって生み出されているかというと、わずか12%に過ぎないのだ。

全文はこちら。執筆しているのは、ルチル・シャルマ(Ruchir Sharma) [1] 訳注;『ブレイクアウト・ネーションズ』(鈴木 立哉(訳)、早川書房、2013年)の著者。。実に素晴らしい記事だ。全文に目を通すべし。

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1 訳注;『ブレイクアウト・ネーションズ』(鈴木 立哉(訳)、早川書房、2013年)の著者。
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