ダニ・ロドリック 「ロシアにおけるオリガルヒ資本主義」(2007年4月30日)

●Dani Rodrik, “Oligarchic capitalism in one country”(Dani Rodrik’s weblog, April 30, 2007)


社会主義から資本主義へと移行する渦中にあったロシアで、滑稽(こっけい)な出来事が起こった。政界とコネのある「オリガルヒ」たちによって、資本主義への移行が邪魔されたのだ。その間に、彼らは、私腹を肥やして大金持ちになったのだった。こちらの大変素晴らしい論文[学術誌に掲載されたバージョンはこちら]で、セルゲイ・ブラギンスキー(Serguey Braguinsky)が次のように問うている。「オリガルヒ資本主義は、最終的に真の市場経済と民主主義へと行き着くまでの過渡的な段階に過ぎないのだろうか? それとも、また別の非効率的な社会経済システムにしか行き着けない袋小路を意味しているのだろうか?」 (ブラギンスキーの答えはというと、楽観的ではないようだ)。ブラギンスキーの論文では、計300人近くのオリガルヒについての10年分のデータが収集されている。実に立派な貢献だ。ブラギンスキーの結論を私なりにまとめると、次のようになるだろう。新世代のオリガルヒは、かつてのノーメンクラツーラともほとんどコネがなく、正真正銘の起業家階級となり得たポテンシャルを秘めていたにもかかわらず、レントシーキング[特権を享受するために、政治家や官僚に働きかけること]や国有財産の乗っ取りに手を染めることになった。その結果、(ノーメンクラツーラと強いコネがあった)旧世代のオリガルヒと見分けがつかなくなったのだった。

(追記)出だしの文章中にある「滑稽な出来事」という表現を捉えて、幾人かの読者から「滑稽とは何だ!」とのお叱りを受けた。仰(おっしゃ)る通り、ロシアで起こった件の出来事は、滑稽とは言えない。言葉選びが下手で、謝るしかない。

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