マーク・ソーマ 「連歌ノミクス」(2014年5月14日)

●Mark Thoma, “Renganomics”(Economist’s View, May 14, 2014)


さて、話は打って変わって・・・

拝啓 マーク・ソーマ殿(お望みであれば、本メールを貴殿のブログで公開していただいても構いません)

貴殿だけでなく、Economist’s Viewブログの読者の皆様にも興味を持っていただけるのではないかと考えまして、余計なお節介かもしれませんが、何とも奇抜な論文を紹介させていただきます。この論文では、経済学の教育の場に「連歌」による競い合いを取り入れてみてはどうかと提案されています。言い換えると、「連歌ノミクス」(“renganomics”)――「言葉が織りなす自生的秩序」の実験――のススメがテーマとなっています。

●Stephen T. Ziliak et al., “The Spontaneous Order of Words: Economics Experiments in Haiku and Renga”(「言葉が織りなす自生的秩序:俳句と連歌を通じた経済学教育の実験の試み」)

この論文は、International Journal of Pluralism and Economics Education誌の最新号(Vol. 5, No. 3)に掲載される予定になっています。以下のリンクから無料でダウンロードできます。

http://papers.ssrn.com/sol3/papers.cfm?abstract_id=2437052

アブストラクト:自発的な競争を通じて学生たちの創造的な協働と知的な面での成長を促す低コストの協同学習(collaborative learning)モデルが求められている。本稿では、そのような学習モデルの格好の素材として、賞金を懸けた連歌大会を取り上げる。俳句経済学(Ziliak 2011, 2009a)と日本に古くから伝わる詩形の「連歌」にインスピレーションを受けて創作された“Capitalistic Crisis”は、経済学をテーマに5名の学部生が銘々の思いを込めて交互に詠み合った俳句をつなぎ合わせて出来上がった作品であり、「連歌ノミクス」の何たるかを示す好例だと言える。

連歌というのは、複数の人が(5-7-5の音節の)上の句と(7-7の音節の)下の句を交互に詠み合って出来る共同作品である。中世の日本では、連歌の催しは文芸の醍醐味を満喫するために開かれたが、社会的・政治的・経済的な交流の場としても機能していた。俳句の応酬を目にした聴衆たちは、(連歌の中で語られている)特定のテーマやムード、(その時々の経済情勢も含めた)季節(時勢)に思いを馳せ、その場の雰囲気に酔いしれるのであった。連歌の起源は8世紀に貴族の宮廷で行われた催しに求められているが、次第に庶民の間にも広がり、お互いの腕を競い合う場として時に身分を問わず賭けの対象ともなったのであった。

2014年4月にルーズベルト大学で、本稿の共同執筆者に名を連ねる学部生5名も参加した連歌大会が催された(審査員は、スティーブン・ジリアクが務めた)。経済学の講義を受講する50名程度の学部生たちが3人または5人からなるチームに分かれ、賞金50ドルを懸けて45分間に及ぶ連歌の詠み合いを演じたのである。我々の知る限りでは、この大会は経済学をテーマとした英語ではじめての――あるいは、すべての言語を含めてはじめての――連歌大会だと思われる。本稿では、連歌と俳句の関係や連歌のルールについて簡単に説明を加えた後に、連歌大会で見事グランプリに輝いた“Capitalistic Crisis”と“Fashions of Economics: Haiku”の2作品を紹介する。」

俳句経済学については過去にも貴殿のブログで取り上げていただいたことがありますが [1] 訳注;こちらこちらを参照。、さらに詳しい情報は以下のリンクをご覧ください。

http://sites.roosevelt.edu/sziliak/official-site-of-the-haiku-economist-aka-stephen-t-ziliak-2/

敬具

スティーブン・ジリアク(Stephen T. Ziliak)

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1 訳注;こちらこちらを参照。
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