メンジー・チン 「抗戦を鎮圧するために必要な兵隊の数は?」(2022年2月21日)

●Menzie Chinn, “Counterinsurgency Ratios”(Econbrowser, February 21, 2022)


経験則の一つによると、侵攻した先で起こる抗戦を無事に鎮圧するためには、1,000人の住民に対して20~25人の兵隊が必要だとされている(Goode, 2010)。ウクライナの人口は4,400万人だから、4,400万を1000で割った値に20ないしは25を掛けると、88万~110万。つまりは、ロシア軍がウクライナでの抗戦を鎮圧するためには、単純計算で88万~110万人の兵隊が必要となるわけだ。

ロシア軍がウクライナ周辺に配備している兵隊の規模は、(意見は様々だが)おおよそ19万人くらいだと見積もられている。19万人というのは、ロシア軍の通常戦力の4分の3程度の規模らしい。88万~110万人という数に比べるとだいぶ少ないが、ロシア軍が抗戦を無事に鎮圧するためには――ウクライナによる抗戦を支援するために、隣国から援軍がやってくる可能性もある――、軍事面だけではなく金銭面でも資源の相当の圧迫を覚悟する必要があるように思える。

財政収支も黒字だし、外貨準備も潤沢だし、原油が高騰したら石油収入も増えるだろうし・・・というわけで、ロシアは万全の準備ができていると言われるが、ウクライナを長期にわたって占領できるだけの金銭的な余裕があるかとなると、どうだろうか?

(注記)「1,000人の住民に対して20~25人の兵隊が必要」という数値は、大雑把な見積もりに過ぎないし、限られた数の事例――それも、その多くはだいぶ昔の事例――から得られたものだ。軍事テクノロジーの進歩を考慮すると、どうなるだろうね? 占領する地域が狭いほど、必要となる兵隊の数も少なくて済むかもしれない(ドンバス地域で暮らす住民の数は400万人くらいだから、「1,000人の住民に対して20~25人の兵隊が必要」という数値を使うと、ドンバス地域での抗戦を鎮圧するためには、8万~10万人の兵隊が必要という計算になる)。

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