ラルス・クリステンセン 「過去から鳴り響くこだま ~ソ連からポーランドへの宣戦布告状~」(2014年4月22日)

●Lars Christensen, “Echoes from the past – how Molotov declared war on Poland in 1939”(The Market Monetarist, April 22, 2014)


エルバン・マエ(Erwan Mahé)が出してるニュースレターで紹介されていて知ったネタだ。

1939年9月17日の朝に、ソ連の外務人民委員だったモロトフから、モスクワに駐在するポーランド大使に宛てて送られた書状

モスクワ駐在ポーランド特命全権大使
グルジボウスキー閣下

1939年9月17日

拝啓

貴国がドイツと交わされた戦争によりまして、貴国の国内は最早ボロボロであることが露呈しました。10日間にわたる戦闘行為の結果として、貴国は、国内の工業地帯および文化の中心地をすべて失いました。貴国の首都であるワルシャワは、もうどこにも存在していません。貴国の政府はバラバラに解体されて、どうやらもう息もしていないようです。つまりは、ポーランドという国も、貴国の政府も、事実上の死を迎えたわけであります。ということは、我が国が貴国と結んだ条約はどれも最早無効となったことを意味しています。権力の空白が埋められずに放置された結果として、貴国は危険で想定外の出来事が絶えない混沌の坩堝(るつぼ)と化してしまい、このままでは我が国へも塁が及ぶおそれがあります。そのため、これまで中立的な立場を堅持してきた我々も、最早中立的な立場を貫くわけにはいかなくなりました。

さらには、我々としましては、貴国の領土内で暮らす我らが同胞たるウクライナ人およびベラルーシ人(白ロシア人)が運命に翻弄されて無防備なままに放っておかれているという事実にも無関心ではいられません。

かかる状況に鑑(かんが)みまして、我が政府は、赤軍の最高司令部に指示して、我が軍を貴国へと派遣するよう命じました。貴国の領土内で暮らすウクライナ人およびベラルーシ人(白ロシア人)の生命と財産を守る任務に就かせるためであります。

なお、我が政府としましては、愚かな指導者たちのせいで不幸な戦争に引きずり込まれてしまったポーランド市民を救い出し、彼らが平穏に暮らせるように万全の措置を講じる用意があることも併(あわ)せてお伝えしておきます。

敬具

ソビエト連邦外務人民委員 ヴャチェスラフ・モロトフ

 

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  1. 日本語で「白系ロシア人」だと white Russian émigré の意味になってしまうため「ベラルーシ人」「白ロシア人 」(この訳語が誤解混乱を生むのですが)に直したほうがよいのではないでしょうか。

    1. コメントありがとうございます。
      「ベラルーシ人(白ロシア人)」に修正させていただきます。

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